あらすじ
「異人」という漢字熟語はもちろん日本だけでなく、中国語圏や朝鮮半島などでも共有されている。
「異人館」といった言葉が示す通り、日本語での「異人」は外国人を指すことが多い。また平均や主流からの逸脱を示唆する字面は、ネガティブなイメージも漂う。だが「異人」が持つ本来の意味は、すぐれた「異才」「異能」の持ち主といった肯定的なニュアンスも含んでいる。
本書はそんな「異人」たちの足取りに焦点をあてた。「在日」という言葉も「在日華僑」「在日米軍」など多様な層を含むが、ここでは朝鮮半島にルーツを持つ人々に絞っている。
(「はじめに」より)
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Posted by ブクログ
読み応えあった。
何人もの「在日」のプロフィールを、多くはその親が来日した経緯から、更には故郷を出る背景まで取材しているので、内容は詳細になり、力道山や張本勲や芸能人たちのように華やかな話ばかりではない。
「在日」の歴史を紐解く本は何冊か読んだが、この本のように複数の人間を、しかも力道山たちのような超有名人たちだけでなく、実業家など多様な人たち、そしてその家族たちの足跡も追っている点で出色である。
様々な業界で結果を出した「在日」たちであるが、若い頃や親の世代では猛烈に過酷な状況下で生きていたことが、誰の過去を振り返っても一様で、日本による統治下時代以降の彼ら民族の苦難が浮かび上がる。
そういう意味で、勉強になりました。