【感想・ネタバレ】ルッキズムってなんだろう?のレビュー

あらすじ

なぜ私たちは「ルッキズム」を語り、問題とするのだろうか? その背景にあるものを探り、「ルッキズム」の概念を再検討する内容。

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Posted by ブクログ

最近よく耳にする「ルッキズム」(狭義では、「見た目や外見に基づく差別や偏見」)という概念に関し、そもそも「ルッキズム」とはどういう意味か、ルッキズムはどうして問題なのか、どうすればルッキズムを解消できるのかといったことについて、読者と一緒に考えながら、確認・整理をしている。
「ルッキズム」とは何かということをはじめ、本書ではルッキズムをめぐる様々な問いにすっきりと答えが出ているわけではないが、中学生との対話形式で丁寧に考察が進められており、様々な角度からルッキズムについて考えを深められる良書だと感じた。
ただ、もともと自分は、ルッキズムが殊更に問題にされる風潮に違和感を持っていたが、本書を読んでも、その違和感は拭いきれなかった。外見に基づく直接的な差別や否定的評価は間違いなくよくないとは思うが、ミスコンなど他人の外見を評価することや、自身の美しさを追求することなどまで問題だとするのは行き過ぎのように思う。本書では、外見を評価するときの規準が偏っているというバイアス論をルッキズムが問題であることの根拠の1つとして挙げているが(一方の理由として挙げられている「無関係論」については一定納得できた)、何かを評価するときに何らかのバイアスがかかっていることは致し方のないことだと思うし(例えば、平安時代の日本では、現在よりもふくよかな女性が美人とされていたと聞く)、現代世界では白人を基準にした美が席巻しているとはいうが、バランスの取れたものに美を感じるのはごく自然な感情であり、それはある程度しようがないことだと思う。また、美容アプリや、個人が手術などで美しい外見を追求することも、社会的にルッキズムに加担することにつながるという旨の指摘もされているが、それは個人や企業の自由の範疇であって、そこまでの悪質性を持つものではないように思う。美の追求は、様々な文化の一つの源泉でもあり、あまりルッキズムを強調しすぎるのは、文化的豊かさを失わさせ、息苦しい社会につながってしまうようにも思う。
まあ、このような思いは持つものの、自分として考えがはっきり整理できているわけではなく、直接的な差別だけでない「ルッキズム」というものに対してのもやもやした気持ちは依然としてあるが、本書を読んだことは、ルッキズムに対する考えを自分の中で少しでも整理するのに良い機会となった。

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2026年01月05日

Posted by ブクログ

本書が提示するのは、ルッキズムを個人の「心の傷」や「思いやり」の問題に閉じ込めず、社会の「構造」として捉え直す視座だと思う。

「自分の顔や心のせいだと思っているうちは……顔を変えるとか、強い心をもつとか、そういった対処方法しか選べません。(中略)でも、社会のなかで広く問題をとらえることができれば、いたずらに自分を責めるところで終わってしまわない」

この指摘は、2000年代までの「自己責任(新自由主義的実存主義)」の時代から、2010年代以降の「構造主義的回帰」へと向かう思想の潮流と見事なまでに合致している。

かつてX JAPANのhideは、肥満児として校庭を走らされた屈辱を語っていた。彼は後に過酷なダイエットを経て「ビジュアル系」というジャンルを確立し、外見規範を逆手に取った「武装」によって生の様式へと昇華させた。それは表現者として美しく、力強い克服の物語だ。
だが、本書を読めば問いはさらに深まる。そもそも、なぜ彼は「武装」しなければならなかったのか? 私たちを洗脳している「外見規範」という名の構造を直視せず、個人の努力や心がけのみに解決を求めるのは、思考停止という名の残酷ではないか。差別の被害者でありながら、無自覚に加担もしていたかつての自分に、この視点を突きつけたい。

また、ルッキズムは「若さの崇拝」とも地続きだと感じた。ボーヴォワールが『老い』で綴った、老いという「他者性」への忌避感。フェミニズムが長年対峙してきたこの問題は、ルッキズムという言葉を得ることで、より鮮明に社会制度の不備として顕在化していく。

終わりに、本書でも紹介されていた、高島鈴『布団の中から蜂起せよーアナーカ・フェミニズムのための断章』の言葉を添えたい。

「詰まるところ私が想像しているのは、己の容姿が嫌いなままでも余裕で生きていける社会である。この世は容姿というものに意味を見出しすぎているし、容姿が人間の生存に食い込みすぎている。解体すべきはそこなのだ。トマトが嫌いなせいで死ぬほど苦しむ人はほとんどいないのに、自分の容姿が嫌いなせいで死ぬほど苦しむ人は大勢いるというのは、絶対におかしいと思わないか?」

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2025年12月28日

Posted by ブクログ

中学生向けの本ですが「ルッキズム」というまだ歴史の浅い問題について、詳しく解説されており入門としてとても良かったです。
どのようなことが問題視されているのか、それに対してどのような解決策が提案されているのか等広く紹介されており、答えを押し付けるのではなく、全体が問題提起の形になっているところが良かったです。
自分自身は中学生ではありませんが、読みながら共感したり「それは極端じゃない?」等考えながら読み進めることができました。
年齢を問わず、「ルッキズム」について、よくわからないけど知りたいという方におすすめです。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

平易な表現で説明してくれてるけどこれ相当難しい考え方の話をしているぞと途中から襟を正して読みました。会話式で可能な限りかみ砕いて、引っかかりやすいポイントも段階的に説明してくれてるのは非常に感じるんですが、何度か読まないと完全な理解は難しそうだ。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ルッキズムの言葉の意義を通じて、最近の世の中についても知ることができた1冊でした。
遠回りをしながら問への答えを導くこともあるので1回読むだけでは少し難しいかも。


筆者が色んな切り口から外見は個人の問題ではなく社会の問題だと強く訴えかけていたのが印象的でした。

自分も学生時代、外見について悩んだり苦しんだり、そればかり考えていた時期があったなと思い返し、あの時の悩みへの答え合わせにもなった本でした。

中学生に向けた本かもしれないけど20代の私が読んだ感想として、ルッキズムや外見を通して、様々な社会の問題に目を向けることができ、現代の学生など若者の風潮を知ることができたり新たな発見があり、面白かったです。

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2025年10月26日

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