感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
読みながら自分の中の「邪な囁き」を何度も考えていた。
昔、駅のホームで電車を待っている時、液体を積んだタンンクのみの重厚な列車が轟音で通り過ぎるのを眺めながら、ホームから一歩踏み出せばそこには明確な死が待っており、生と死がとても身近にあるものだと一種の恍惚感のようなものをよく感じていたものである。その感情は他人に向けたものではなかったが。
あとがきにもあるように、子供の風船を割って回るような小さなものであれ、他人の不幸を喜ぶような邪な気持ちを持っている事は自分自身否定できない。それが実際に行動に移され表に出てくることは非常に稀であるが。
あの感情はなんだろうかと本を読みながら考えていたが、一種の全能感への憧れのようなものではないかと思う。
パイロットという特殊な職業、イケメンで高収入、高層マンションに住み好きな酒はウィスキーのオン・ザ・ロックという中二的な大人の男像にやれやれと思ったり、正田が引き起こす数々の事件に「そんな何回もバレずに事が運ぶ訳ねーだろ」と思いつつも、墜落のシーンで死の恐怖と愛に目覚める、邪悪さと人間らしさの対比には戦慄を持って読む事ができた。
Posted by ブクログ
新年早々泣かされたました。
最後の方の飛行機事故は結構悲惨だろうけど、あっさりした描写。
「死にたくない。もう一度、彼女に会いたい」
「あの人が地獄にいるのだとしたら…そこでもう一度、あの人に会いたい。あの人がどれほど邪悪な人だったとしてもかまわない」
穢れた純愛って言葉が浮かんだ。
『あいつ』ってそういうオチか…
少し肩すかしだった。