あらすじ
労働を禁止する。生活は保障する。誰も、取りこぼさないために。HIPS。それは、経済が停滞した日本に生まれた、前代未聞の扶助団体。すべての会員を監視下に置き、経済活動と財産の所有を禁止するかわり、健康で文化的な最低限度の生活を保障するというHIPSは、あらゆる会則をAIに委ねている。人々を惑わせるHIPSの周囲では、数々の不穏な事件が巻き起こる。完璧に見えるAIの管理。待つのは成功か、それとも破滅か――。
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Posted by ブクログ
はじめは社会的な問題を取り扱った小説なのかな…とすこし気後れしていたのですが
読み始めると想像以上に面白いミステリー小説でした。
HIPSに加入しませんか?というところから物語がはじまり、HIPS加入者の周りで事件が起こる。そしてHIPSの意思を汲んだ政党ができ、政治争いが勃発。そこからHIPSは崩壊していく。AIはHIPSの崩壊を止められなかったのか、創設者はいったい……と徐々に物語が変化していき、まるで自分もその世界にいるかのようでした。きっと読み始めで、自分はHIPSに加入したいな〜、いや加入なんてしない!と2つに分かれると思うのですが、そのどちらを選んだとしても物語を楽しむことができるのではと感じました。そうして読み終えた時、自分は改めてどちらの立場にいるのか。
人によって意見が異なると思うので、他に読んだ人の意見も聞いてみたいなと思いました。
また最後まで読むと身体に障害を持ったものの、ルルの無事がわかりほっとしました。
強くて優しい子、と出てきましたが最後まで逞しそうで笑みがこぼれました!
Posted by ブクログ
ありえない、とも言えないのか。壮大な社会政策の中で揺れ動く人の感情と生き様。みんな誰かを想っているんだけど、うまく噛み合わない。短編かと思いきや、全て繋がって最後の展開までどどどっと流れ込む。こうなるか?もいう部分もあったけど、それも人間だからありえる。人間は完璧じゃないから。面白かった!
Posted by ブクログ
HIPSそれは健康で文化的な最低限の生活を送れずにいる人々を救うために誕生した扶助団体。会員には月々一定の額のHIPSマネーが給付され、腕時計型のウェラブル端末を通してのみ使用することができる。マネーは端末に紐付けされた口座に振り込まれ現金としてひきだすことはできない。貯蓄もできない。そして金銭的報酬を伴う一切の労働は禁止される。入会時には全ての私有財産をHIPSに寄付しなければならず、退会すると再入会はできない。このHIPSをめぐる5つの物語。最初に想像していた話とは違った展開。5つの物語が複雑に絡みあいどんどん引き込まれていく。
第四話聖人と最終話沈む箱舟が良かった。
AIと人間の未来、考えさせられた。
Posted by ブクログ
HIPSのような団体は生まれるのだろうか。
本来は国が守るべき国民の生活。もちろん生活保護制度はある。だが、そのすべてをAIに委ね、労働や財産の所有を禁止し、生活を保障する。経済が停滞し、明るい未来が見えない中で、ただ働くために生きているようなら、HIPSに頼るだろうなと思った。
そんなHIPSが関係する様々な問題が発生する。最後には政治にまで関わる。HIPSには人生を救われた人もいれば、壊されてしまう人もいる。
私には難しくて完全に理解できていないところもあったように思うが、他にはない、とても面白く考えさせられる一冊だった。
Posted by ブクログ
HIPSとは謎めいた暗号のような想像のつかない題名に読む前にワクワク感が止まりませんでした。HIPSに入ると労働と財産の所有を禁止すると言う画期的な生活になると言う。近未来になりうるかもしれない?そしてミステリー仕立ての物語がいっぱいトリックや仕掛けなど王道のミステリーかと思いきや意外性のお話などいまだにかつてない一風変わったミステリーをあなたも堪能して下さい。
Posted by ブクログ
働かずに何してるんだろう。大人の会員の暮らしをもっと知りたかった。ボランティアといっても無償だと逆に信用されない場合もあるし。団体が認知されればそこも意識が変わるのか。
Posted by ブクログ
生活を保証する代わりに労働を禁止する扶助団体HIPS。
設定がおもしろくて購入。
ミステリー要素も絡んでたけど、そっちはトリックが結局被害者の行動ありきだったり神風ありきだったりの偶然頼りだったのがなんだか残念だったかな…
公明党を模したみんみん党が作中で与党から外れてるのがいまの政権と似てて笑
オチはやっぱりみんな労働禁止はつらいよね、みたいな感じで締められるのかなと思ったらぜんぜん違う方向にいって、万能AIなのにスパイのひとりで崩壊するならもともと危ういものだったのでは?と思った…
Posted by ブクログ
表紙と帯で「社会派小説?」と思って読んでいたら、本格ミステリーで驚いた。扶助団体の話はどっちかっていうと舞台装置かおまけ、メインは本格ミステリー。いや、いいんだけど。社会派小説を想像していた身としては、肩透かしを食らったというか、「あー、いや。うん、これはこれで面白いんだけど……。でも、求めていたのはこれじゃない」感がある。どうせなた扶助団体とミステリーは別々にわけて話にして欲しかったな。一緒くたにする理由ってなんなのだろ。