【感想・ネタバレ】県警の守護神 ~警務部監察課訟務係~のレビュー

あらすじ

新ジャンルを生んだ話題の警察小説、文庫化!

この新人がデビューしたら私の立場が危なくなるんじゃないか、と思うくらい評価した。
──今野 敏氏

異色の警察小説ながら、元警察官の私も思わず「あるある!」と感じるリアリティな描写が光る作品です。魅力ある登場人物たちが織りなす緊迫のドラマ、ぜひご覧ください!
──販売担当N

憧れの警察官に転職した元競輪選手の桐嶋千隼は、ある日、バイクの自損事故現場で轢き逃げに遭ってしまう。病院で目を覚ますと、バイクに乗っていた少年は死亡していた上、桐嶋はその責任を巡る
訴訟を起こされていた。途方に暮れる桐嶋を訪れたのは、弁護士資格を持つ異色の巡査長・荒城──通称「県警の守護神」だった。真実よりも勝利を求めるやり方に反発するも、訴訟に巻き込まれていく桐嶋。さらに調査を進めるうち、訴訟は同日に起きていた警察官発砲事案にも繋がっていき……。
警察官を護り、国民を護る。警察×民事訴訟、小説界に新風が吹く!
第二回警察小説新人賞受賞作。堂場瞬一氏との特別対談も収録。

※この作品は過去に単行本として配信されていた『県警の守護神 ~警務部監察課訟務係~』 の文庫版となります。

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Posted by ブクログ

水村舟『県警の守護神 警務部監察課訟務係』小学館文庫。

新人作家のデビュー作となる警察リーガル小説で、第二回警察小説新人賞受賞作であるようだ。

巻末には、堂場瞬一氏と水村舟の特別対談も収録。

警察小説とリーガル小説の融合といえば、マイクル・コナリーの『リンカーン弁護士』シリーズと『ハリー・ボッシュ』シリーズの融合作が有名であるが、日本人作家でこの分野に挑む作家が出てくるとは全く考えてもいなかった。

しかも、非常に面白いのだから、たまらない。とてもデビュー作とは思えないほどの完成度の高さと面白さなのだ。

そして、男尊女卑、上司に唯々諾々と従う組織風土、隠蔽体質、異常なまでの出世欲など、警察組織の描写にはリアリティを感じる。

最初は二部構成の連作形式の小説かと思って読んでいたのだが、第一部はほんの序章に過ぎず、第二部の中盤からストーリーが大きく展開し、さらに終盤には二転三転四転と状況が変わるという驚きの仕掛けもある。

第一部だけでも満足度が高いのに、第二部はさらに第一部を超える面白さがあるのだ。


第一部

プロ競輪選手から憧れの警察官へと転職した桐嶋千隼は先輩の牧島理一巡査部長とパトカーで事件現場に臨場する際にバイクに乗った暴走族が自損事故を起こす現場に遭遇する。バイクの運転手を救護するため、パトカーを降りた桐嶋は後方から走って来たワゴン車に轢き逃げされる。

病院で目を覚ました桐嶋はバイクの運転手が死亡したことを知り、その責任を巡って民事訴訟を起こされる。途方に暮れる桐嶋の元を訪れたのは、弁護士資格を持つ異色のプロパー警察官である荒城勇樹巡査部長であった。荒城は警察に対する民事訴訟では負けたことが無く、『県警の守護神』と呼ばれていた。

荒城は真実を求めるよりも、あらゆる手を使い、訴訟で勝つことだけを目指していた。そんな荒城のやり方に反発する桐嶋だったが……

第二部

轢き逃げ事件に遭い、事件現場に臨場出来なかった桐嶋に代わり、いち早く事件現場に駆け付けた警察官の国田リオは、現場で刃物を持った男の右手を狙い発砲事案を起こしていた。

この発砲により負傷した男はゴルフのレッスンプロで、男は警察を相手に民事訴訟を起こす。

バイク運転手の死亡事故を巡る民事訴訟で署内に居場所を無くした桐嶋は本庁の荒城の部下となり、国田リオの発砲事案を巡る訴訟に立ち向かうのだが……

やがて、国田リオの発砲事案と桐嶋が巻き込まれた轢き逃げ事件とがリンクしていき……

本体価格860円
★★★★★

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2025年08月19日

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