【感想・ネタバレ】食べごしらえ おままごとのレビュー

あらすじ

食べることには憂愁が伴う。猫が青草を噛んで、もどすときのように――父がつくったぶえんずし、獅子舞の口にさしだした鯛の身。土地に根ざした食と四季について、記憶を自在に行き来しながら多彩なことばでつづる豊饒のエッセイ。著者てずからの「食べごしらえ」も口絵に収録。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

石牟礼道子さんの料理関係本。
九州での子供の頃の思い出や、大人になってから料理したエピソードなど。
子供の頃のエピソードの記憶力がエグい。

料理本と言ってもレシピ本では全くない。レシピをあえて載せないとかではなく、本人も勘で作っているものなのでレシピが存在しない模様。読む方はどちらかというと料理そのものについて知りたいのではなく、その料理を中心としたその当時の出来事や人々のエピソードを読んで楽しむという形。

相変わらずの素晴らしい語彙や文才が溢れて、まるで自分もそこにいるかのような情景が目に浮かぶ。
ただところどころで都会もんを見下していると言うか憐れんでいる描写があるのがちょっと「おぉ…」となる。東京のグルメもんはこんなカスい野菜や魚を食べて美味しいとか言ってるんだ、みたいな。
実際どうなんだろう。昔の野菜のほうが美味しいとか栄養価が高いというのはあったんだろうか。今となっては知る由もないが。

「獅子舞」というエピソードで小さい弟が獅子舞に怯えきってしまったので、中の人たちが出てきてあやしてくれたり、どこかから千歳飴を出してプレゼントしてくれたとか、追いかけて鯛となますやお屠蘇をアーンでご馳走したなど、全体的に良すぎる。
そして「よくよくみれば、若者の額やのど元には汗がびっしょりで、紺の腹がけの胸元にも汗が滲み出ている。のちのち思えばあれが、いなせというのか、紺の刺子の腹がけの、胸元の汗の男らしかったこと。」というエロスまである。

「からし菜」の章では「抜群の香りと青くさいような風味。そして歯ざわりのよさ。躰のすみずみがおどろきめざめてゆくような、ぴりぴりと諧調のある辛み。冬の土に育てられたみずみずしい真緑。これは炊きたての白い御飯にかぎる。試しに鰹節をまぶして食べた。ゆたかなる聖餐と思う。」という、自分もすぐに同じものを食べたくなる描写。天才すぎでは?

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2026年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても好きなエッセイだった。
お料理というよりもその背景にある熊本の人たちの暮らしや土の匂いが漂ってくる。著者の父親の生きざま、貧乏であるからこそ人間のプライドに向き合うということ、お金を使わずに食べものと向き合うこと。

現代では難しい、とても難しいことが書かれていて心が痛いところもあったが、少しでも心の隅におきながら生活したいと思う。お団子とか、お菓子が作りたくなった。年に一度や特別なとき、四季折々のお祝い事など、折にふれてこんな料理をしてみたいなと思う。

醤油のいいにおいが心に流れ込んでくる本。

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2020年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「椿の海の記」を先に読んでおいてよかった。
グルメエッセイって苦手なのだが、本書は作者自らグルメではないと主張、印象的なタイトルへつなげる。
実際読んでいて浮かぶのは食べ物そのものではなく、そんな食事や料理を営んできた人々の姿だ。
特に作者の父母や弟の顔が、もちろん知らないけど浮かぶかのようだ。もちろん「椿の海の記」の影響。
石牟礼道子は1927年生まれ。わが祖父と同じくらいか。ちなみに、
三島由紀夫は1925年生まれ。
水木しげるは1922年生まれ。
育ちや環境は全然異なるが。
以下メモ。

父の歳時記への拘り。
母が子を五日で喪う。
馬の背さながらの俎板。
子を寝かしつける母は即興詩人。
流産した産婦さんに、赤ちゃんはすぐまた、のさりなはります、と母。
誕生日も命日も夫に任せきりだった母。亡くして初めて困る。笑い泣き。
子油徳利を語るうち、こわくなる母。
みんみん滝。おみよが身投げして蝉に生まれ変わって。
獅子舞の口を開けて、アーンしなはりまっせ、ほら、と正月の料理を若衆に。
リヤカーで行商にいくとき、5つの娘を連れることで、夜道のこわさを紛らわせる母。
菖蒲を切りにゆくときは主人公のように思っていた弟。父が息子に、菖蒲を鉢巻きのように巻いて。
から薯→おさつ。
どっさり作る→ものごとをする。
宮沢賢治が特別の位を与えて、苹果と読んだ。
解説は池澤夏樹。

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2022年07月20日

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