【感想・ネタバレ】大田昌秀―沖縄の苦悶を体現した学者政治家のレビュー

あらすじ

沖縄戦で鉄血勤皇隊として死線を彷徨い、戦後は早稲田大学、米国に留学、琉球大学で沖縄戦・沖縄学の教鞭を執った大田昌秀。米統治下から論壇で活躍し、1990年、知事当選後は米軍基地問題と対峙する。
冷戦終結後の新たな日米関係が求められる中、米兵による少女暴行事件が勃発。高揚する民意と日本政府との間で解決を模索するが、3度目の知事選で敗北する。
100冊以上の自著で沖縄の苦悩を記し、沖縄現代史と共に歩んだ生涯。

はじめに
第1章 沖縄戦という原点
1 久米島の秀才
2 沖縄師範学校への進学
3 鉄血勤皇隊としての戦争体験

第2章 本土、米国への留学――1950~56年
1 収容所から沖縄文教学校へ
2 早稲田大学での「日留」 本土の解放感
3 「米留」の2年間 強烈な民主主義体験

第3章 日本復帰論高揚のなかで――琉球大学時代①
1 沖縄人意識の探究 「事大主義」問題
2 日本国憲法下への復帰支持
3 復帰論の思想的位置 「反復帰論」、進歩派との距離

第4章 復帰後、沖縄学の批判的継承――琉球大学時代②
1 アイデンティティの模索 復帰直後の課題
2 戦後の沖縄学 沖縄戦・占領史の追究
3 「積極的平和」への共鳴

第5章 沖縄県知事の第一期――1990~93年
1 出馬の決断と勝利 少数与党の議会運営
2 軍用地強制使用問題と三次振計
3 平和行政の展開 戦後50周年への拠点づくり

第6章 沖縄からの異議申し立て――1994~96年
1 戦後五〇年目の「転換」を目指して
2 少女暴行事件と代理署名拒否
3 日本政府との攻防 基地返還の具体化構想
4 普天間飛行場の返還合意と苦渋の決断

第7章 大田県政の挫折――1996~98年
1 橋本首相との関係 官邸主導の経済振興へ
2 失速する県政 吉元副知事の再任否決
3 普天間移設問題の迷走
4 橋本首相との断絶、知事選敗北

第8章 晩年と死
1 再び研究活動へ
2 参議院議員時代 問い続けた「沖縄とは何か」
3 沖縄独立論への傾斜

おわりに
あとがき/主要参考文献
大田昌秀 略年譜

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

責任を回避し、周辺に負担を押し付ける姿勢は帝国主義そのものであり、戦後は決して終わっていないと感じる。多数の悪意とも言えるものと格闘した人生に敬意を持った。

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2025年09月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大田本人がいろいろな本を執筆しているのでそれは読まれているが、大田本人について書かれたものはあまりないのかもしれない。
 沖縄と関連することについての論文を書こうと思っている学生や沖縄についてのフィールドワークの書籍を読むときにはその基礎的な知識としてこの本が薦められる。

0
2025年09月27日

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