あらすじ
「宇宙人を殺すのはなんの犯罪にもあたらねえんだよ」
人間社会に溶け込み、悪事を働いている宇宙人を駆除すれば一晩で15万円。簡単なお仕事だといわれ、人生に行き詰った三浦馬連と山井孝直は宇宙人の隠れ家をタタきに向かう。合法ドラッグ、裏切りの裏切り……人はみんな思い込みで生まれて、勘違いで死んでいく。
日本語ドーピングの新鋭が描く、この世界の不条理=馬鹿馬鹿しさ。
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Posted by ブクログ
なんか凄いものを読んでしまった。頭がわるいこと、頭がわるいことを自覚していることとしていないことの差異、頭がわるいことを利用すること、利用されること、など全てが詰まっていた。自分で責任を持って判断をすることって当たり前だけれど、難しい。
主人公の三浦馬連は、何をやってもうまくいかない人生に嫌気がさしている。「宇宙人を殺すのはなんの犯罪にもあたらねえんだよ」と言われ、言われるがままにその仕事を請け負う。人間社会に溶け込み、悪事を働いている宇宙人を駆除すれば一晩で15万円だ。同じように仕事を受けた山井と宇宙人の隠れ家をタタきに向かうが、実は……。
作者の献鹿狸太朗(けんしかまみたろう)さんは漫画家さんで、漫画家の筆名・ 三ヶ嶋犬太朗(みかしまけんたろう) のアナグラムを小説家名に使っている。十六歳でデビューしたとか、凄すぎ。小説では漫画で挑戦できないことをやっている気がした。ジャンル分けしたら純文学に近いと思う。
Posted by ブクログ
意外に青春モノ感あって爽やか。
帯の文が横じゃなくて縦?に書いてあるのとか、表紙にバーコードあったり読む前から楽しい。
馬連と山井が宇宙人退治する話。
バディ物で戦闘にどうやって勝つかの論理もひと工夫あったり、意外性もあって楽しい。
馬連が馬鹿すぎて、ボスの想像を超えた領域にいたから真相もちゃんと分かってたなんて、逆に馬鹿じゃないのかも。
彼の家はあんのことみたいな感じで、親が親として機能してない家庭。山井になんか言われてもそれなに?って聞き返すやり取りが好きやった。サンタクロースも知らないって馬連ちゃんあんた……
両角ってボスが使う催眠を説明する下りなんか奈須きのこっぽくて楽しい。
Posted by ブクログ
相変わらずの疾走感が読んでいて気持ちいい。ストーリーは、過去作に比べてわかりやすくなった分、小さくまとまってしまった感があるが、キャラクターがとてもいい。馬連の話をもっと読みたいと思った。
Posted by ブクログ
饒舌体とでも言いたくなるようなとてつもない語り口。けっこう読み手を選ぶ気もするけど、明らかに尖った作風で、なんとなく著者のキャラクターも若者代表とか文化人とかタレント的な何かとかなんかそんなようなものが透けて見えてくるような印象もした。正直、作品の中で扱われている人物の思考回路が、ここまで言葉に満ち溢れているのかは疑問もあるというか、著者のインテリジェンスと登場人物のバイオレンスにはかなり乖離もある気がしたので、かなり嘘っぽいといえば嘘っぽい。でもある種の嘘が本作のテーマであって、SF的な題材を文学的に着地させている感覚にもなったので、すべて計算づくであるのかもしれないし、あんまりよくわからないという感じもした。映像にすればかなりハードボイルドなものになりそうだし、テーマとしては若者を取り巻く闇バイトなどを扱ってもいて、かなり映像を喚起されるところが言語の面白いところだなと感じた。そういう、言葉というものの強さというか、言葉でねじ伏せようとしてくるみたいな感じの作品だと思った。
Posted by ブクログ
新刊コーナーで見つけて、
今しか出会わないかも、
読めないかもと思い、
手に取った一冊です。
文体が独特で面白く、
個人的には読みにくい箇所もありましたが、
言ってることは滅茶苦茶のようで、
芯を食っていて、頭をガン!とされるような部分もあり。
頭が悪い馬連。家族もやばい。
馬連は宇宙人退治を命じられる。
報酬は15万。
宇宙人?SF??え???と思いながらの読書でした。
途中色々しんどくて心折れかけましたが、
最後は…そうなのか、と。
私の中での馬連はEXITの兼近で、
彼が頭の中で動き回っていました。
普段読まないような文章だったので、
読後は良かったです。