【感想・ネタバレ】隣の家の少女のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

1958年の夏。12歳のデイヴィッドは隣家に引き取られてきた美少女メグと仲良くなる。ある日隣家の女主人ルースがメグを折檻しているのを目の当たりにするが、デイヴィッドはただ傍観しているだけだった。ルースの行為は日に日にひどくなり、ついにメグは地下室に監禁され――

「読後感が最悪」と評判だったので、読んでみたらホントにそうだった(笑)。なのに読まずにはいられない。ここまではありがちな虐待ものとあまり変わらないが、この話が本当に怖くなるのはメグが地下室に監禁されてから……。ルースの息子たちや家に出入りしていた少年たちがルースに触発され、メグの虐待行為に加わっていくのだ。さらには主人公デイヴィッドもいつしかその異常な共同体の一部となり、メグが虐待されるのを見続けることになる。
とにかくエスカレートする残虐行為が容赦ないのだが、それ以上にデイヴィッドとともに見ていることしかできない自分が怖くなる。途中で何度も本を投げ出したくなった。こんな思いをした本は初めて。でも結局最後まで読まずにはいられない。
ケッチャム作品の、ある意味リトマス試験紙的作品。これを読めれば、奨められなくとも他の作品も手にするはず。

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2023年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

好き勝手書きます。ネタバレ注意です!


ある意味現代にあっている小説だと思った。

最悪の形でメグが死んでしまうのは救いようがないし、ディヴィットもルースを階段から突き落としてるしで全部が全部善良な人間なのかは分からない。それでも最後のスーザンに指輪を渡すシーンは儚くてうつくしい。

「後味が悪い。胸糞」と言ってしまえばそれまでなのだが、この手の作品は儚さも兼ね備えている。そこが好き。その傾向はこの小説にはあまり及ばなかった気がするが。

考えないで読んでいた説浮上。考えたくかった。ある意味で思考放棄。そのくらい現実から乖離した、非人道的としか言えない虐待や性描写だった。やたら生々しい。淡々と壊れていく感じはぜひ見習いたかった。まるで、初めからそうなる運命だったと決めつける童話の語り手のように。(あながち間違ってない)瓦解は綺麗だった。それゆえ悲惨極まりない。

姉と妹。交通事故で両親を亡くして引き取られた新たな新たな家族との間の悲劇。そのシチュエーションだけでキツイ。「お前がやらなかったらスーザン(妹)がするだけ」みたいなセリフが辛かった。ただ、姉妹で必死に励まし合ってるシーンは、静謐に似た何かを感じた。

それやっちゃうかー、みたいなセリフで少し興奮した自分は末期。それとも、「そりゃそうするだろ」という本能としての満足感? 

今まで読んできた小説とはわけが違う。小説だから怖くないと高をくくっていた自分を叱咤したい。忍びなくて、本から目を話したことも何度か。少なくとも、絶対、これはエンタメではない。面白くはない。

あと、やっぱりこの手の作品は女性をれいぷするとか、犬のクソ食わせるとか、生理的に嫌悪するものが散りばめられてる。描写も生々しいからきつかった。

翻訳者があとがきで言ってたけど、今のような世の中で読むにふさわしい本、本当にそう思う。集団心理もそうだし、子供の恐ろしさとか、そうさせてしまうのは親だとか、ぎゃくたいだとか。

もう一度読めるかは分からないが、自分の中で何かを変えた本なのは確かだ。

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2021年01月12日

Posted by ブクログ

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かなり壮絶で、でもこういった酷い事件は日本にもあるし、身近な事でもあると思わされる小説でした。大人ですら心から信用してる人達の行動には知らず知らず同調してしまい、自分に言い訳をしたりして目が覚めるのが遅れることはあると痛感しているので、デイビットの気持ちも凄くリアルに感じました。心に残りました。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

お勧めされて読んだ本。
非常に後味が悪く、生理的嫌悪と恐怖に顔を顰めつつも、一気に読んでしまった。
アメリカの片田舎の平和な日常の描写から始まった物語は徐々に不穏さが滲み出ていき、「誰にも言ってはならない」というキーワードをもとに際限なくエスカレートしていく。
暴走した列車のようにどこまでも行き着くところまで行ってしまった恐怖と、ヤンチャだが気のいい仲間だと信じていた仲間たちが止まらない怪物だったときの絶望、傍観者として一部始終を眺めたデイヴィッドに対する嫌悪と憐憫。

残虐で後味の悪い作品だが、臨場感がすごく非常に読ませる力のある作品だった。

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2024年02月03日

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ネタバレ

衝撃的。

時代とお国柄の違いがあるため、違和感を覚える箇所もありますが、人が狂っていく様を見事にストーリー化していると思いました。

『ゲーム』と称して虐待がエスカレートしていく様子、思考停止状態の傍観者、コントロールしているはずのルースがもともと精神を病んでいるため、歯止めがきかなくなる様子…

ノンフィクションかと思うほど、説得力がありました。

主人公は最後に自我を取り戻せてよかったと思いますが、消えない心に傷はずっとずっと残ります。

ルースも結局は自分自身の問題をメグに押し付けてしまっていました。事件後に生きていたら、どんな運命を辿るのか気になりましたが、幸か不幸か裁かれることなく逝ってしまったため、知ることはできません。

テーマがテーマなだけに、読んでいる間のほとんど、眉間にシワが寄っていたと思いますし、読後もスッキリはしません。
けれど、読んでよかったと思う本でした。

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2023年06月25日

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ネタバレ

これは本当に読むのがしんどくて、途中までは数ページずつ細切れにしか読むことができなかった。
文章が難しいわけではなく、逆に文章は読みやすく、クリアに状況がイメージできてしまうからこそ、辛くてしんどくて読み続けることができなかったのだ。

語り手は12歳の少年。
自然に囲まれた郊外で、近所に住む友達と毎日遊び戯れることが日課だったデイヴィッド。
彼の隣の家に、両親を交通事故で亡くしたメグとスーザン姉妹が引き取られてきた。
3歳年上の美しくて勇敢なメグにデイヴィッドはすぐに惹かれたのだけど。

隣と言っても日本の家のように建物が密集しているわけではないので、家は一種の密室になる。
隣の家には夫に逃げられたルースが、3人の息子と暮らしている。
「誰にも言わない」という約束で、ルースは息子やその友達にビールやタバコを許している。
美人で話せるルースは、近所の子どもたちの憧れだった。

最初はうまくいっていたルースとメグの関係が徐々に歪み始める。
美人のメグをルースは警戒する。
男をたぶらかす女にならないようにと、折檻する。
家事でこき使い、食事を与えず、殴る、蹴る、煙草の火を押しつける。

妹のスーザンは事故で重傷を負い、今も歩行補助具をつけないと会歩けない。
そのスーザンを庇うために、メグは必死でルースの言いつけを守るが、自身の尊厳は決して失わない。
その姿勢がよけいにルースの怒りを誘い…。

デイヴィッドは最初こそショックを受けますが、虐待を受けるメグを見ることに喜びを感じる自分もいます。
そのことに悩むデイヴィッド。
「誰にも言わない」ことの呪縛。
悪いことをしている自覚に責めさいなまれる日々。

詳しくはわかりませんが、ルースは心身に失調をきたしていたようです。
しかし、3人の息子は母の言うことに逆らうなんて考えもよらず、何なら積極的に母を手伝い、虐待はどんどんエスカレートしていきます。

もう本当に読むのが辛くて、途中でやめようと何度も思いました。
最後まで読んでもひとつも救いがありません。

実は大人たちが知らなかっただけで、近所の子どもたちはこの所業を知っていました。
積極的に虐待に加わる子がいる反面、親に打ち明けた子もいるにはいたのです。
しかし熱心なカトリック教徒だというその親は、「そうされるのならそうされるだけの悪いことをその子はしたのだろう」と取り合いませんでした。
悪意を持たない人は、悪意を想像することもできなかったのでしょうか。

メグが助けを求めた警官も、後日家を訪ねてルースに虐待の事実を問い、否定されたらそのまま帰っていきました。
マヌケすぎる。
その後のメグがどんな仕打ちを受けたのか、想像しようともしなかったのでしょう。

人のもつ悪意の醜さと恐ろしさがこれでもかと書かれていて、小説としては上等なのでしょうが、正直絶対再読したくありません。

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2022年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんな衝撃的な本を読んだのは初めてです。
デイヴィッドを通して事細かに語られる物語は、実話なのかと思うほど生々しく痛々しく、顔を顰めながら読んでしまうほどでした。

日に日に残虐さを増していくメグへの虐待を見ることから逃げ出したい・助け出したい気持ちと見ることを辞めたくない気持ちが葛藤して、全てが終わった現在では人生で1番後悔し懺悔しているデイヴィッド。

私たち読者も文章を通してデイヴィッドと同じように、日に日に残虐になっていく虐待の様子を少しずつ読み進め、終わったときには後味の悪さ、時には読んだことへの後悔が残るかもしれません。


とにかく残虐でグロテスクで吐き気を催す描写も少なくなく、とても後味が悪いです。それでも夢中になって一気に読んでしまうくらい引き込まれました。

P.S. 実際の事件をもとに描かれていると知って鳥肌が立ちました…

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2022年02月23日

Posted by ブクログ

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凄いものを読んだ。
3回休憩を挟まなければいけなかった程度胸糞で、多分数日はこの小説の事を考え続けるんじゃないかと思う。精神不安定な人は絶対に読んではいけない。


物語自体は本当に胸糞だが、面白かったと思う点は多くある。
自分が一番よかったと思う点は、メグとの最初の絆を深め合う描写、折檻描写、更に虐待になり、メグが死ぬと気付いてから終盤までの構成が巧みという点である。
読み手の感情を耐えられるギリギリで揺さぶる。
そして、一種の解離状態を読み手にディビッドを通して抱かせるのである。

1度目の前の強者や虐待をする人間に絶望や諦めを抱いたことがある人なら知っている感覚が、小説で再現されていることに先ず驚いた。

ディビッドが映画のようにルース達によるメグ虐待を見ていた辺りからより事態は悪化し、あまりのつらさにめぐへの感情移入は出来なくなり、しかしながら時だけは過ぎていく。
その辺りの没入感はとても良かった。


ルースに関して、ただの精神病者という別個のものとして考えるのではなく、自分は自己の苦しみの原因を他者に投影してしまう極端な人間として見ている。この人物の作り込みも凄かった。
何かトラウマがあり、その原因を女という概念に見出し、女であるメグに対しての憎しみを持つ。
ルース目線でこの物語を見てみたいとふと思った。


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2021年02月17日

Posted by ブクログ

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先日、約20年ぶりぐらいに著者の「オフシーズン」を読み返し、背筋が冷たくなる感じの世界に再び魅了され本作も立て続けに手にしてしまった。

非常によく出来た作品で読書中にもかかわらず思わず目を背けたくなるようなシーンと見事なまでの登場人物の心理描写は間違いなく☆5つと言いたいが、「オフシーズン」を読んだ時の衝撃との比較という点だけで☆4つの評価。

主人公であり本作の語り部的存在はデイヴィッドであり、彼の心理描写(善と悪)は見事としか言いようがない。

彼の隣の家に越して来たのがメグと妹スーザンの姉妹。

両親を事故で亡くし、デイヴィッドの隣人であるルース家に身を寄せる事になるが、これが彼女達の運命を大きく左右する。

ルースとその子供達によって家の地下シェルターに監禁される事になったメグ。

そこで行われるメグへの虐待は日に日に残酷さを増していく。
(メグへの虐待シーンは「オフシーズン」同様に脳裏に焼き付き、叫び声が耳に残る)

なんとかしてメグを助けようとするデイヴィッド。

メグとスーザンを助け出しハッピーエンドを迎えないのがジャック・ケッチャム作品であり、警察が踏み込む直前にメグは命を落としてしまう。

目を覆いたくなる虐待シーンのインパクトが強いが、私にはデイヴィッドとルース、メグの3人の心理描写(それぞれが変化していく)に圧倒された作品でした。



説明
内容(「BOOK」データベースより)
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。

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2021年01月21日

Posted by ブクログ

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恐ろしかった。何が恐ろしいって、大好きだった快活で優しいルースの異常性が浮き彫りになっていくことはもちろん、親友だったドニーをはじめ兄弟のウィリーやウーファーまでもが虐待に手を加え始めること。また、主人公のデイヴィッドがそれを違和感なく傍観していて、さらには読者である自分までもがそれをただ起きていることとして傍観している、そして自分も加害者の一人であるかのように思わされるところ。
異常な出来事や行動を、淡々と、あたかも日常のひとコマのように描かれている前半部分が怖い。
それ故に中盤あたりでルースの精神の異常性を示す描写を読み少し安心した自分がいた。やはり彼女は狂っているのだと。
後半はただただひたすらにメグが痛々しく、どうにか生き残って幸せになってほしいと願うばかりであったが、そのような願いは叶わずメグは残虐に痛めつけられ続けた果てに息絶えてしまう。
美しく活発で、水彩画が得意なメグの、あるはずだった輝かしい未来を想像すると本当に胸が痛くなる。
主人公は最後に、突発的にとはいえルースを殺すことに成功するのだが、それでも全く報われた気がしない。メグを痛めつけた全員にメグと同じ目に、それ以上の目に合わせてやりたいという怒りに駆られる。
救いがない。だがそれだけ人間の闇や不条理をこれでもかと描いていた。
これはルースは異常だったにせよ、絶対にバレない環境や、慕っている人がやっているのだから、などという状況になるとドニーやウィリー、主人公に限らず善悪の判断もまばらな少年だった僕らなら同じようにしていた可能性があるということ。
決して人ごとではない、異常だがあくまで日常的な恐ろしい話だと思った。
多分、思い出すたびに胸が痛くなるだろう。

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2020年08月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

実際の凄惨な事件を元にしているらしいですね。
登場人物の心理描写が巧みで、文章としては読みやすかった。
被害者だと思って読み進め、途中で傍観者から加害者に。最後は何とか「これはおかしい」と気付いたけど、時すでに遅し結末は最悪。
子供がいるので教育や洗脳の部分でとても考えさせられた。「あなたのため」なら何をして良いわけではない。
読んでいる間はじわじわ喉から重い物が落ちていくような不快感、でも続きが気になるので一気に読んでしまいました。辛かった。

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2021年11月14日

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