あらすじ
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越してきた美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、姉妹がせっかんされている場面に出合いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―――。キングが絶賛する伝説の名作!
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Posted by ブクログ
かなり壮絶で、でもこういった酷い事件は日本にもあるし、身近な事でもあると思わされる小説でした。大人ですら心から信用してる人達の行動には知らず知らず同調してしまい、自分に言い訳をしたりして目が覚めるのが遅れることはあると痛感しているので、デイビットの気持ちも凄くリアルに感じました。心に残りました。
Posted by ブクログ
お勧めされて読んだ本。
非常に後味が悪く、生理的嫌悪と恐怖に顔を顰めつつも、一気に読んでしまった。
アメリカの片田舎の平和な日常の描写から始まった物語は徐々に不穏さが滲み出ていき、「誰にも言ってはならない」というキーワードをもとに際限なくエスカレートしていく。
暴走した列車のようにどこまでも行き着くところまで行ってしまった恐怖と、ヤンチャだが気のいい仲間だと信じていた仲間たちが止まらない怪物だったときの絶望、傍観者として一部始終を眺めたデイヴィッドに対する嫌悪と憐憫。
残虐で後味の悪い作品だが、臨場感がすごく非常に読ませる力のある作品だった。
Posted by ブクログ
衝撃的。
時代とお国柄の違いがあるため、違和感を覚える箇所もありますが、人が狂っていく様を見事にストーリー化していると思いました。
『ゲーム』と称して虐待がエスカレートしていく様子、思考停止状態の傍観者、コントロールしているはずのルースがもともと精神を病んでいるため、歯止めがきかなくなる様子…
ノンフィクションかと思うほど、説得力がありました。
主人公は最後に自我を取り戻せてよかったと思いますが、消えない心に傷はずっとずっと残ります。
ルースも結局は自分自身の問題をメグに押し付けてしまっていました。事件後に生きていたら、どんな運命を辿るのか気になりましたが、幸か不幸か裁かれることなく逝ってしまったため、知ることはできません。
テーマがテーマなだけに、読んでいる間のほとんど、眉間にシワが寄っていたと思いますし、読後もスッキリはしません。
けれど、読んでよかったと思う本でした。
Posted by ブクログ
これは本当に読むのがしんどくて、途中までは数ページずつ細切れにしか読むことができなかった。
文章が難しいわけではなく、逆に文章は読みやすく、クリアに状況がイメージできてしまうからこそ、辛くてしんどくて読み続けることができなかったのだ。
語り手は12歳の少年。
自然に囲まれた郊外で、近所に住む友達と毎日遊び戯れることが日課だったデイヴィッド。
彼の隣の家に、両親を交通事故で亡くしたメグとスーザン姉妹が引き取られてきた。
3歳年上の美しくて勇敢なメグにデイヴィッドはすぐに惹かれたのだけど。
隣と言っても日本の家のように建物が密集しているわけではないので、家は一種の密室になる。
隣の家には夫に逃げられたルースが、3人の息子と暮らしている。
「誰にも言わない」という約束で、ルースは息子やその友達にビールやタバコを許している。
美人で話せるルースは、近所の子どもたちの憧れだった。
最初はうまくいっていたルースとメグの関係が徐々に歪み始める。
美人のメグをルースは警戒する。
男をたぶらかす女にならないようにと、折檻する。
家事でこき使い、食事を与えず、殴る、蹴る、煙草の火を押しつける。
妹のスーザンは事故で重傷を負い、今も歩行補助具をつけないと会歩けない。
そのスーザンを庇うために、メグは必死でルースの言いつけを守るが、自身の尊厳は決して失わない。
その姿勢がよけいにルースの怒りを誘い…。
デイヴィッドは最初こそショックを受けますが、虐待を受けるメグを見ることに喜びを感じる自分もいます。
そのことに悩むデイヴィッド。
「誰にも言わない」ことの呪縛。
悪いことをしている自覚に責めさいなまれる日々。
詳しくはわかりませんが、ルースは心身に失調をきたしていたようです。
しかし、3人の息子は母の言うことに逆らうなんて考えもよらず、何なら積極的に母を手伝い、虐待はどんどんエスカレートしていきます。
もう本当に読むのが辛くて、途中でやめようと何度も思いました。
最後まで読んでもひとつも救いがありません。
実は大人たちが知らなかっただけで、近所の子どもたちはこの所業を知っていました。
積極的に虐待に加わる子がいる反面、親に打ち明けた子もいるにはいたのです。
しかし熱心なカトリック教徒だというその親は、「そうされるのならそうされるだけの悪いことをその子はしたのだろう」と取り合いませんでした。
悪意を持たない人は、悪意を想像することもできなかったのでしょうか。
メグが助けを求めた警官も、後日家を訪ねてルースに虐待の事実を問い、否定されたらそのまま帰っていきました。
マヌケすぎる。
その後のメグがどんな仕打ちを受けたのか、想像しようともしなかったのでしょう。
人のもつ悪意の醜さと恐ろしさがこれでもかと書かれていて、小説としては上等なのでしょうが、正直絶対再読したくありません。
Posted by ブクログ
こんな衝撃的な本を読んだのは初めてです。
デイヴィッドを通して事細かに語られる物語は、実話なのかと思うほど生々しく痛々しく、顔を顰めながら読んでしまうほどでした。
日に日に残虐さを増していくメグへの虐待を見ることから逃げ出したい・助け出したい気持ちと見ることを辞めたくない気持ちが葛藤して、全てが終わった現在では人生で1番後悔し懺悔しているデイヴィッド。
私たち読者も文章を通してデイヴィッドと同じように、日に日に残虐になっていく虐待の様子を少しずつ読み進め、終わったときには後味の悪さ、時には読んだことへの後悔が残るかもしれません。
とにかく残虐でグロテスクで吐き気を催す描写も少なくなく、とても後味が悪いです。それでも夢中になって一気に読んでしまうくらい引き込まれました。
P.S. 実際の事件をもとに描かれていると知って鳥肌が立ちました…
Posted by ブクログ
スプラッター描写が多すぎる。読むのが辛い。ディヴィットが両親にメグが虐待されてるのを言えなかったことと助けたい気持ちともっと虐待を見てみたい気持ちの葛藤に憎しみを覚えたが、この本を辛くても最後まで読んでしまった私と重なる部分がある。だからこそディヴィットに共感できてしまって苦しい。
Posted by ブクログ
実際の凄惨な事件を元にしているらしいですね。
登場人物の心理描写が巧みで、文章としては読みやすかった。
被害者だと思って読み進め、途中で傍観者から加害者に。最後は何とか「これはおかしい」と気付いたけど、時すでに遅し結末は最悪。
子供がいるので教育や洗脳の部分でとても考えさせられた。「あなたのため」なら何をして良いわけではない。
読んでいる間はじわじわ喉から重い物が落ちていくような不快感、でも続きが気になるので一気に読んでしまいました。辛かった。