あらすじ
堀トシヲ十九歳.東京モスリン亀戸工場女工.百年前に誕生した細井和喜蔵渾身の名著『女工哀史』の裏には共作者ともいうべき人がいた.妻トシヲである.貧しさから身を起こし各地の紡績工場を経めぐり,関東大震災,西宮大空襲を潜り抜け,そして――.戦前から戦後を貫く類まれな半生を描く評伝小説.加藤陽子氏,磯田道史氏推薦!
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Posted by ブクログ
新聞の書評欄で紹介されていたので読んだ。女工哀史はとても有名な本で書名は知っていたが、その内容についてはよく知らなかった。この本は女工哀史のモデルとなった高井トシヲの生涯について書かれた伝記である。
劣悪な労働環境、労働条件の下でいかに権利を獲得してききたのかについてよくわかる内容だった。日本が戦争に突入していく前の大正期に官憲による言論の封殺がおこなれていたこと、戦後の貧しい時代に貧民が苦しめられていたことがよくわかった。
令和の今の時代も生活に困窮する人たちもいるはずなのだが、生活保護が行われているので、問題がないのかどうか知りたくなった。生活保護があることでやる気を失ってしまい、人間の尊厳も失われているのなら、それはそれで問題だと思った。
労働争議の話、関東大震災の話、戦災の話、日雇い労働の話、どれをとっても興味深く読めた。
特に戦争前の日本の状況については最近きな臭い報道が多いので大いに知るべきだと思った。