あらすじ
日本人に西洋哲学は分からない。だから日本思想は独創的で面白い! 西周 福沢諭吉 中江兆民 西田幾多郎 和辻哲郎 中沢新一 東浩紀 落合陽一――「文化的接木」(明治以降、西洋文化が輸入され、かなり強引に日本文化に接続されたこと)と「記号接地」(明治以降の新しい社会情勢の中で新しい翻訳語が生まれ、それらが体に染み付いていくプロセスのこと)の観点から、日本思想史の新たな側面に光を当てる試み。
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Posted by ブクログ
時は明治。
それまでとは全く違った思想を解読するため、
時に多くの言葉を生み出し、
時に独自の解釈を生み出しながら、
思想の荒波を航海した先人たちの記録。
今となっては当然のように使われる単語も
このころに作られたものが多くある。
この柔軟さと強靭さが日本の武器だし、
いまだに根付いたのか根付いていないのかもよくわからないまま“社会”を構築してしまっている弱みでもあると思う。
Posted by ブクログ
分厚い新書といっても雑誌連載の集成などはまとまりが弱いものもあるが、タイトルを通貫した意欲作。序章の「自分語り」ですら長く、この時点で筆者の「反発的情熱」のようなものに惹かれた。テーマによっては難解さが避けられないが、人選にもいい意味で筆者の個人的関心が影響していることをさらけ出し、付かず離れずの距離感を保ちながらいわゆる「日本思想」を特徴づける誤読と暴走というテーゼを縦横無尽に振り回している。再読。
Posted by ブクログ
今月一番気になっていた本。明治時代に西周が「哲学」「主体」などの言葉を翻訳して作った。しかしこれは元の言葉の意味を反映したのではなく、儒教的な考えと無理やりつなげて生み出した。このように、海外の文化の背景を無視して取り入れることを「文化的接木」と本著では読んでいる。西田幾多郎や和辻哲郎などは独自の哲学を「創作」したわけである。私も正直「自由」や「権利」「平等」は日本に浸透していないと思っていた。自由ひとつとっても人によって意味合いが違う。また、誤読もこの創作の流れだと思うと腑に落ちた。
Posted by ブクログ
基本的な知識がない私には、全体的に難しかった。
文化的接木や記号接地問題という観点を用いて、西洋哲学はそのまま日本人には馴染みようがない、という主張についてはその通りだと思った。
個人的体験が導入となる序章は面白く読めたし、著者の主張に対して納得感もあった。
ただ、細かい各論に入ると著者には申し訳ないが、難解になってしまって読みきれなかった。