あらすじ
児童文学者で小説家の庄野英二の代表作になる長編ファンタジー小説。世界大戦の復員兵イシザワ・モミイチは戦地で、愛馬ツキスミを失い、心に深い傷を負って、記憶もまた失っている。ある日、牧場で働くモミイチは、馬の蹄の音を聞き、それに導かれるように山に分け入ると、クラリネットを吹く男に出会う……。刊行当時、数々の名だたる児童文学賞を受賞した名作の復刊。解説 絲山秋子
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Posted by ブクログ
文庫化されたのを機に購入。
小学生の時からもう何度も繰り返し読んでいる、楽しいけれど物悲しく心を締めつけられる。
戦争で心を病み帰ってきたモミイチが、山の中でであった自由に楽しく生きる”ジプシー”たちと心を通わせる物語。
ジプシーたちの暮し、そのコミュニティーはやさしくゆるやかで、まさにファンタジー。でも、子どもの頃は、ほんとうにこの国の山の中にはそんな世界が存在するのではないか、と夢見ていた。今も本当にあって欲しいし、できればその中でくらしたい、と思う。
人のありよう、社会のありよう、そして、戦争についても考えさせられる。
Posted by ブクログ
本屋さんで、ふと装丁にひかれて手に取った一冊。
柔らかなひらがなに包まれた文章のなかには、戦争の記憶と夢のような幻想が共存していて、読みながら何度も立ち止まりました。
育児と仕事のあわただしさの中でふと息を抜きたくなったとき、こんな物語に出会えるのは、私にとっての小さな奇跡のようです。