感情タグBEST3
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...この人の本は、「ジャンル分け」できん(^ ^;
熊さん八っつぁんなど、古典落語でおなじみの面々が、
古典落語そのままの世界でどたばたを繰り広げる。
特に第一章なんかは、落語の速記録を読んでるように
ただあははあははと笑ってる内に過ぎる。
が、鯨先生の作品がそんな一筋縄で行くはずがない(^ ^;
この太平楽な落語の世界に、幕末の「史実」が絡んでくる。
皇女和宮の降嫁だとか、高杉晋作の暗殺だとか、
井伊大老やら安政の大獄やら...
で、熊さん八っつぁんらが、当人たちが全く知らずに
これらの歴史的事件の「流れを変える」重要な役割を担う。
いや、「うっかり担ってしまう」という感じか(^ ^;
もちろん、全体的には荒唐無稽、んなアホなのオンパレード。
かなりの牽強附会、強引なこじつけで無理繰り絡ませて、
でも読み物としてはあははと笑いながら読めて。
しかも落語としてきちんとサゲまで持ってってる(^ ^
いやもうお見事としか(^ ^
電車の中で何度も吹き出しそうになりました(^ ^;
危険物です(^ ^;
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タイトルの面白さに、うっかり買ってしまった。古典落語が好きで、この物語の素材となった噺は何回となく聴いたものだ。それだけに、ただ単に噺をなぞるだけの物語になっては興ざめだと思った……のだが、その心配は杞憂だった。うかうかと幕末の日本の動乱が、異譚という形で古典落語と融合させている。そしてまた、古典落語を演じる現代の噺家によっては、今風のギャグを江戸・明治の話に違和感なくスルっと入れるように、著者も同じことをしており、うっかり読み進めた後でニヤリとさせてくれる。
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ざっくり言ってしまうと古典落語をベースにした連作短編集。
でもベースの落語を知らなくても全然受け入れOKな作品。一話一話はそれぞれのタイトルにある古典落語のあらすじをなぞった体で一話ごとにちゃんと落ち(サゲ)がある安心感。
更に一話目に登場する粗忽長屋の住民が各話に絡んでくる連作短編の形式をとっている。呆れるくらいネジが外れ気味な粗忽長屋の住民の軽妙な掛け合いが全編を通して笑いを誘う。
更に更に、誰もが知る江戸幕府末期の幕末から大政奉還に至る歴史的転換点を大ボラを吹きながら壮大に物語る(もちろんフィクション)。
ホントなんとも贅沢な創りである。有栖川有栖氏の解説にもある『サービス精神が豊か』な鯨統一郎を気軽に味わえる一冊。
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さくさく読めたが、一つ引っかかる点が……。
平将門の時代、日本にお茶は無いだろう。
念のため調べてみた。将門の死は西暦940年。栄西が宋から茶の種を持ち帰ったのが1191年。
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これは一言、面白い!久しぶりに本で声出して笑えた。帯にも紹介のある箇所は特に秀逸。
そして落語の素晴らしさも再発見。粗忽長屋の面々が知らぬうちに歴史を動かす重要な局面に関わっていたとは。
何故か、自分は意図してないのに悪役がどんどん勝手に倒れていってくれる、小さい頃に見たピンクパンサーのクルーゾー警部もよぎる。
あくまでも異譚。でも意外と世の中こんなものかも。ベルリンの壁も、命がけで亡命を試みた人もいたのに、その崩壊は報道官1人の勘違いからだったし。悲劇のすぐ側に喜劇がある。
落語、まさに人生そのもの!辛いこともサラッと笑いに変えて生きていこうと思えた、軽くて重い一冊。
有栖川さんのあとがきも良い!
最後まで
笑えるのがいい。ただ、作者、毎度オチに近付くにしたがって口数に気を配ってたのが、最終噺あたりで判って来て、そこがネタの話芸と違う文章の面白味だと唸らされたねぇ。
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熊さん、八っつぁん。落語ネタサスペンス。
粗忽長屋、千早振る、長屋の花見、時そば、などなど。古典落語のネタが各表題に。
最終的に壮大なスケールにまとまってゆく。
電車の中で読んじゃいけないやつね。
抱腹絶倒とはいかないが、思わず吹き出し、にやけてしまう一冊。
元ネタの落語を知らなくても十分楽しめる。
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鯨統一郎さんは初めて読んだが、発想の面白さは白眉。
江戸近辺の某藩の若殿が、跡目争いのゴタゴタから記憶喪失になり、江戸の粗忽長屋の住人熊公になる。
粗忽者の八と熊、長屋の住人たちと大家の花見が井伊直弼を大老にしてしまい、かと思えば、大家の留守居で饅頭恐い…と、平将門の呪いの封印を解いてしまい、遊び人与太郎が道具屋で皇女和宮の降嫁を決めてしまい、高杉晋作は目黒のさんまで暗殺、とどめは八五郎の時蕎麦で大政奉還が決まる、という、なんとも奇想天外な連続。
余りの可笑しさに星四つ。
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知ってる噺も知らない話も。
粗忽長屋の面々が粗忽にもほどがある。
1本1本がお決まりのサゲにたどりつくのに、1冊を通して大きく世の中を動かしてしまっている。
どうなるか分かっているのにおもしろい。
読んでる分にはただただ面白いだけなんだけれど、すごいモノを作るなぁ。
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落語から派生した落語風味な小説。
落語はさほど詳しくないものの、
落語の世界は素敵。
いやはや、
電車内で笑いを堪えるのに必死でした。
荒唐無稽な物語。
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揺れ動く幕末日本。井伊直弼が大老になったのは、和宮が降嫁したのは、高杉晋作を殺したのは、大政奉還をさせたのは――なんと落語でお馴染みの長屋の連中たちの仕業だった!?
初めての鯨さんなので他の小説はどんなんなのかわからないんですが、地の文がすごく簡潔として、落語の方はほとんど落語底本みたいな感じで、もうそのまま落語の本として受け取ってくれてもかまわないくらいの再現っぷりです。なんでわりとサクサク読めた感じ。陰の幕府の暗号と時そばのサゲのミックスはあああーwww 笑いました、ハイ。
解説で有栖川有栖さんも書いてますが落語とミステリは非常に似ているので、ぜひミステリ好きの方には落語聴いてもらいたいですね。
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荒唐無稽で、ある意味ばかばかしい話の連作。
古典落語を知らなくても十分楽しめますね。
色々な歴史の転換点は、こんな感じでばかばかしく進んでいってしまうのかもね。
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この小説はどのようにカテゴライズするべきか、読み進むごとに印象が変わってきました。
古典落語の物語世界が舞台。江戸時代末期の粗忽長屋に暮らす「熊さん」たちのお話で、庶民を描いた時代小説的ではあります。ところが、彼らの粗忽な行動が日本の歴史を大きく動かしていくという大河小説的な色合いも。その因果関係は、ミステリー的に結びついています。
まるで落語を見ているように、軽妙にストーリーが進みます。落語だけに、ダジャレ的な言葉遊びもふんだんに盛り込まれています。いやあ、面白かった。
重い社会的なテーマを盛り込んだミステリーというのも面白いですが、たまにはこんな洒脱なお話というのもいいものですね。鯨統一郎の本は初めて読みましたが、今後も注目していこうと思います。
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多くの人が褒めていたし、好きな鯨さんの作品なので読んでみました。
読み始めてすぐに、あっ!これは以前に読んだ本である!ということに気が付きました。文庫になる前に読んでたんだな。
有栖川さんが言ってるほどには私には笑えなかった。しかし、鯨さんの豪快な力技には感心いたしました。
ツラツラ~っと読み終えました。
小さんの時そばをすぐにCDで聞き直しました。
落語を聞きたくなる魅力にはあふれています。
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幕末の激動を落語の演目で綴っていくお話。
いやいや斬新すぎるから(; ̄ω ̄)オイオイ…
でもこんな史実だったら、もっと幕末を勉強してただろうな…。
ホント、上手い事書いたな〜と感心しました。
はっきりいって、私は落語に興味がないです。「笑点」を年に1回見るか見ないかぐらいです。
そんな私でも、頭の中で「落語口調」に勝手になり軽快に読めました!
面白すぎて、電車の中で笑いをこらえるのが大変だったゞ(≧ε≦o)
一気に読んだー(*´д`*)ハァ〜
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粗忽長屋、まんじゅうこわい、目黒のさんま、時そばなど、落語でおなじみの噺を幕末の事件と結び付けて一つのストーリーにしたパロディ小説。それぞれの噺のサゲはそのままなので、各章の展開は読めてしまうのだが、それだけにバカバカしくて笑える。
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古典落語の登場人物たちが、落語通りの粗忽話を繰り広げますが、本人たちも知らないうちに江戸幕府の行く末を変えてしまっていたなんて!とことん馬鹿馬鹿しくて楽しい話。
落語のオチを知っているから話の途中で結末が完全にわかるのですが、わかるからこそどんどん破滅に向かってゆくのを「ああっそれはマズイよ!」とつっこみながら見守る感覚でした。
有栖川有栖氏の落語とミステリの共通点についての後書きも興味深い。私も常々、短編ミステリの謎解きを読み終えた時、「お後がよろしいようで」という感覚を抱いていたんです!
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バカすぎる落語ミステリ。「饅頭怖い」や「目黒のさんま」など、お馴染みの落語のストーリーが幕末の歴史を大きく揺さぶっていく。
それぞれの落語のオチが、どのように歴史と関わっていくのか。そのバカらしさがもたらすカタルシスについ笑ってしまいました。
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落語っていう言葉にひかれて読んだ本です。
実際にネタは落語なのと、話の進み方が落語なのとで、満足しました。
全体を通して短編集のような構成に一貫したストーリーがあって面白かったです。
今まで知ってた落語と知らなかった落語、両方を楽しめました!
ただ、落語集のような、落語自体の話を知るのには適さなそうです。
あくまでも、そこから派生したものだと捉えるべき。
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鯨統一郎のお笑い系小説、というか落語とミステリのコラボレーション。鯨統一郎の面目躍如というもの。
「粗忽長屋」「千早振る」「長屋の花見」などと言った有名な落語をベースにしているのでの全編会話形式で書かれているのでスイスイと読める。本当の落語の口調の部分もあるし、落語に紛らせ御家騒動や朝廷版御庭番などの裏工作など新たな謎を入れているので全く違う趣になっている噺もある。
幾つかは非常に出来が良いし、複数の話が連続して関係を持つものもあるが、余り一貫していないので時々読んでいるほうが混乱してしまう嫌いがある。せっかくの新機軸なのだから全編で関係性を持つものにしてくれれば更に良かったような気がする。だが、それは無理な注文として、純粋に読み切りの落語と思って読んでも十分に楽しめる作品に仕上がっている。