あらすじ
運動神経抜群で学校の人気者のトシと気弱で友達の少ないワタル。小学五年生の彼らはある日、家出を決意する。きっかけは新学期。組替えで親しくなった二人がクラスから孤立し始めたことだった。「大丈夫、きっとうまくいく」(「ロードムービー」)。いつか見たあの校舎へ、懐かしさを刺激する表題作他、4編(「街灯」/「道の先」/「トーキョー語り」/「雪の降る道」 )収録。(講談社文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「冷たい校舎の時は止まる」のサイドストーリー短編集。
冷たい校舎の方を読んでいない自分でも十二分に楽しめた。
好みは一つ目のお話。
トシが女の子だったのには驚いた。
たしかに違和感はあったけど、まさか性別まで違うとは。
慌てて最初から読み直してみると、点と点が線でつながる快感が得られてすっきり。
すっかり先入観にとらわれて読んでいたことに気付かされ、自分で自分を笑ってしまう。゚(゚ノ∀`゚)゚。
Posted by ブクログ
ロードムービー
先入観から、トシちゃんは男子だと思っていました。
児童会長になりたいトシちゃんに、ワタルくんの演説がしみました。
また、先生が友達のために泣けるやつがこのクラスに何人いるか、と言ったところも好きでした。
気持ちの強いワタルくん、とってもかっこよかったです。
道の先
塾講師と女子中学生の話
倫理観的には塾講師がプライベートで女子中学生のところ行ったらダメでしょうと思って読んでいましたが、それで女子中学生が結果的に救われたのだなと思った。
「平気になる。」
「安心していい。心配しなくていいんだ。」
と断定で信頼してる人に言ってもらえるのって心にくるなと思いました。
トーキョー語り
転入生の2人とさくらさんがまた素敵でした。
ぶれない感じの転入生2人がかっこよかったです。
さくらさんも周りに流されずに行動するのがよかった。
雪の降る道
みーちゃんのヒロくんへの愛がすごかった
スガ兄の言うこともかっこよくて惚れました(?)
Posted by ブクログ
トシが男の子であるという先入観のもと読み進めていた。ワタルのトシに向けたスピーチがあたたかく真っ直ぐな言葉で素晴らしかった。大宮(もうこの苗字ではないが)に向けた塾講の彼の言葉も印象深かった。
「どこでなにしててもいいんだよ」
「いつかそういう時が必ずくる」
この言葉を信じてスマホを大事そうに携帯し、東大を目指す千秋に頑張れと応援したくなった。
辻村さんから、楽ではない人生を少しでも足元が揺らがないように、しっかり生きていけるように、と励ますようなメッセージを感じた。
Posted by ブクログ
冷たい校舎の〜ちゃんと読んでからでよかった。記録見てたら再読だったらしいけど全く覚えてなかった。他作品読んでないと誰のこと?てなりそうやったけど当時はどう思ってたんでしょう(笑)
トシちゃんがあの2人のこどもって全然気づかず他の人の感想読んで気づいた。女の子ってわかると改めてイジメの陰険さが一気にリアルになる。
みーちゃん、小学2年生でこんなに人のこと思いやれるの優しすぎる。スガ兄視点だった話がヒロ視点になって、でもやっぱ辛いなあ。
Posted by ブクログ
辻村双六9/11
短編3章からなります。(後に皆さんのコメント見ていたら文庫本には5話あるということなので、そのうち追記。追記しました。)
冷たい校舎のときは止まるとのリンクが多くて、リアルタイムで読んでると全く気づかず。最後のネタバラシが楽しいです。
基本的に学生時代の話で、まだまだ考えが若く、自身の学生時代を思い出させる内容でした。
無謀なことをやるし、なんでそんなことやったんだろう。とか、喧嘩したと思ったらすぐ仲直りする。
現在の考えでは到底できないような気持ちを思い起こさせられました。
懐かしい時代の空気を味わえる一冊です。
◯ロードムービー
小学5年生のワタルとトシ時に家出をする話。
学校において、ワタルがいじめられていて、次の標的がトシとなる。いじめられてもめげないトシだが、容赦なくいじめられて、ワタルも巻き込まれてしまいます。
トシを児童会長にしたい、ワタルの気持ち。
ワタルと離れたくないトシの家出作戦。
小学生のときの、忖度のない純粋な友情は清々しく、両者が互いに思う気持ちが心を熱くします。
トシが慧恵 女の子!?で最後ビックリして、さらに『冷たい校舎のときは止まる』の
諏訪ゆうじと景子の子どもだとは…
また、これ読んだ後に気づいたことですが、タカノのおじさん。博嗣(弁護士)
お姉さん深月
なぜ読んでいる時に気がつかない!!
と思いながら楽しめました。
◯道の先
とある大学生が塾のバイト先の生徒である大宮千晶との話。
千晶は賢く、家も裕福で頼りにされるけど敬遠される存在。
大学生と千晶がどんどん心を打ち解けていく中で、千晶が急に塾を辞めて、大捜索します。
その時に千晶にかけた言葉が沁みます。
「いいから聞いて。千晶ちゃんは、いつか絶対に平気になる。僕たちは、どこにでも行けるし、変わっていく。僕には言える。いつか、絶対に平気になる日が来る」
現状について目を背けたくても、変わっていくことができる。今が苦しいだけで、未来は大丈夫。安心していいこと。
千晶は理屈で考えがちでしたが、この言葉に響いたみたいでよかったです。
大学生は充 電話相手はリカ でしたね。
東大生誰かわからず。博嗣ですよね?
◯雪の降る道
小学2年生の深月と博嗣の話。
博嗣はヒロが亡くなってから、メンタル不安定。長いこと風邪をひいていた。
毎日のように深月が来るも、煙たがる始末で、深月が可哀想でしたが。小学2年生ですもんね。
菅原榊もでてきて、やっぱかっこいいです。深月が男の子に喧嘩売ったときに、『女に自分のケンカをやらせるな』的なこと言ったところが、菅原兄らしかったです。
この話を元に冷たい校舎につながると思うと、3人の人間関係に色々と納得の部分ありですね。
◇文庫本追加部分
◯街灯
博嗣と深月の大学生の時の様子。
◯トーキョー語り
さくら
水野篤志
久住薫子
一美
遠山さん
がメインで、道の先からの繋がりがあるということでしたが、何のことかわからず。
最後のあたりを読んだところで、遠山さんが千晶だったことに気づく。東大目指して頑張ってるようですね。
一美が薫子やら遠山さんが気に入らなくて、いじめに走るところとかは現実味があって、嫌な感じでしたが、最後は皆協力して一美も遠山さんに謝るハッピーエンドな感じで良かったです。
さくらのあんみつの件は、やたら出てきたので何か関係あるかと思いきや、そんなことなかったですね。