あらすじ
幼い頃から霊感体質に悩まされてきた女子高生・白春青は、怪談師を目指しているという孤高の女子生徒・夏目咏に目をつけられ、『怪談収集を手伝ってください!』と頼まれる。
真夜中に二人で家を抜け出し、不穏な曰くが伝わる神社へ行くことになるが――
「青! 藁人形が大漁です!」「少しは危機感持てないかなぁ!?」
好き放題に暴走する怪談オタクに振り回されて、青の灰色の日常は明るく塗り替えられていく!! 霊能力者と怪談師――仲良しJKコンビが送る〝真夜中青春エンタテインメント〟ここに開幕!
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Posted by ブクログ
私の中ではちょっと珍しい、なかなか良質なシスターフッドの物語で、とても面白かった。主人公の青、ヒロインの咏は、ともに決して軽くはない、相応の質量を持った過去を背負っている。しかし本作が印象的なのは、その過去を劇的に“解決”するのではなく、二人で並び立つことによって、時間をかけて乗り越えていこうとする姿勢を丁寧に描いている点だろう。
互いを救済の対象として消費するのではなく、依存にも支配にも寄らない関係性が心地よい。青は咏を守る存在でありながら、同時に彼女から支えられてもいる。その相互性が、この物語を単なるヒロイン保護譚ではなく、成熟したシスターフッドの物語へと押し上げているように感じられた。
また、サブヒロインである結花と杏子の二人も、単なる賑やかしに留まらず、それぞれの立場や感情が立体的に描かれている点が好印象だ。彼女たちが加わることで、物語の世界はより広がりを持ち、「怪談研究部」という場が単なる舞台装置ではなく、人と人とが関係を育てる居場所として機能し始めている。
次巻からは、この四人での「怪談研究部」の活動が本格的に描かれていくようで、彼らがどのように怪談と向き合い、同時に自分自身の過去や弱さと折り合いをつけていくのか、非常に楽しみだ。軽やかな語り口の中に確かな重みを宿した、今後の展開が期待できるシリーズだと感じた。