【感想・ネタバレ】かもめんたる岩崎う大のお笑いクロニクル 難しすぎる世界が僕を鬼才と呼ぶのレビュー

あらすじ

芸人コンビ「かもめんたる」として活動する岩崎う大が、その半生を綴った初の自伝的エッセイ。そしてそれは、2000年代のお笑いシーンを当事者の視点で捉えた貴重な記録でもある。

【小島よしお、若林正恭(オードリー)も絶賛!】

歪で、険しくて、愛のある、おもしろい道。それが、う大道。
大学時代の僕のカリスマ。 う大さんと出会ってなければ、
いま芸人をやってなかったと思います。――小島よしお

いつもう大さんに会うと、寡黙さの奥に膨大な文字数を感じる。
それがすべてこの1冊に詰まっていた。
本当におもしろい人だな。――若林正泰(オードリー)


愛する笑いを突き詰めて、笑わせたい一心でおもしろさを表現しているだけなのに、観客からは「怖い」「不気味」「気持ち悪い」と言われ続けた。好きなことを表現しているだけなのに、なぜだ? 笑いは明るく楽しいものでなくてはいけないのか?

芸人として懸命に活動する中で、常に世間との相容れなさを痛感する日々。彼は言う。「この世界は難しすぎる」と。また、そんな“難しすぎる世界”は、彼をこう呼ぶ。岩崎う大は「鬼才」だと。

早稲田大学時代に参加したコントグループ「WAGE」で学生芸人としてデビュー。その後、現在の相方・槙尾ユウスケと「かもめんたる」を結成。2013年には『キングオブコント2013』で優勝。さらに、2015年に旗揚げした「劇団かもめんたる」では、2年連続で岸田國士戯曲賞に最終ノミネート。

しかし、華々しい経歴とは裏腹に、テレビのバラエティ番組ではなぜか結果を出せない。明るく楽しく振る舞えない。あぁ……難しすぎる。

“この世界は『キングオブコント』で優勝するだけじゃダメなのか? テレビに呼ばれる頻度も目に見えて減っている。ようやくお笑いで飯が食えるようになったと思ったのに……。一度手に入ったものが消えていく。優勝前には味わったことのない種類の恐怖に怯えた。コントで日本一になる夢を叶えても、お笑い芸人として歩んでいくことができないかもしれないなんて。”(本文より)

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Posted by ブクログ

キングオブう大が大好きです。
芸人さんからあれだけリスペクトされる意味が本書を読んで、少し理解出来ました。
また、本書にあった関係性から審査してたと思うとより楽しくなりました。
ますますかもめんたるが好きになった一冊。
次号期待してます。ありがとうございました。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

岩崎う大が半生を綴ったエッセイ本。
子供時代の感度の高さ、その時の記憶と心情がここまで明瞭なことに驚く。
そして人格の形成に大いに影響したと思われる変わった母。「ソープランドごっこ」の配役など、かもめんたるに出てくる登場人物以上のエグさがある。
大学時代の「大学ではうまくいくのに外では評価されない」という描写が表現を始めたての苦悩のリアルな描写が鬼才のイメージとは離れていて意外だった。
「ニューヨークで学んだ最強のエンタメ」と、「売れている人の真似」に対する「ちゃんとしたことやろうぜ!」という気づきも鬼才らしくなくある種の勇気の出る言葉のように思える。
キングオブコント優勝以降の挫折も、特に相方との気持ちのすれ違いなどさらに詳細に知ることができた。
随所に登場するコントにはタイトルに加えて数行のあらすじが付けられている。もちろん名作ばかりなのでほとんど知ってはいるのだが、この数行のあらすじに引き込まれてあらためて設定のおもしろさに気づく。
最後は創作半生全てを肯定する愛で締められていてそれが最高だった!
とにかく鬼才の頭の中を少しでも垣間見ることができてありがたい本!

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2025年05月22日

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