【感想・ネタバレ】経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へのレビュー

あらすじ

私たちはいつまで誤った経済学を信じ続けるのか? いまだ収拾のつかないグローバル金融危機。これに対する各国の対応は、結局は対処療法に過ぎず、次のバブルを招来させるものでしかない。そして資本主義の危機を底で支えているのは、社会主義国の中国という喜劇的状況。なぜこのような状況に陥っているのか。筆者は経済学の根本、貨幣の根源にまで遡り、いまの過ちを論じる。 (講談社現代新書)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

TPP加入への議論などを見ていると「新自由主義」「グローバリズム」を掲げる人たちがやたらと威勢がいい。しかし筆者は日本の「失われた20年間」とは「構造改革により金融や労働力の自由化を推進してきたにも関わらず、国民はどんどん貧しくなっていった」時代だと看破します。「グローバリズム」は世界をハッピーにするどころか、本来その恩恵を一番に受けるはずのアメリカ合衆国までもをも貿易赤字や貧困、失業といった苦しみに追いやっているのが事実。EUをはじめ他の国々はいうまでもなく、おしなべて失敗している。皮肉なことに経済的にいちおう成功している中国、ロシアなどは「新自由主義」とは正反対で、国家による統制の比重が大きい経済体制である事に着目すべきです。著者はこの状況になった理由を「経済学を誤って理解していること」であると推論します。私たちはアダム・スミスを読み違え、ケインズを誤解していたのではないか。そういった経済学の歴史の見直しから導かれる「今日の先進国の資本主義経済においてはもはや高度な成長は不可能である。にもかかわらず成長を続けなくては経済は破綻しかねない。」というディレンマを、私たちは解決する必要があるようです。資本主義経済はもう、次の段階に移行すべき時が来たのでしょう。とても理解しやすく、大切な事がわかる一冊です。

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2012年09月28日

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