あらすじ
5回の芥川賞落選を経験し、もっとも賞に近かった(?)作家による芥川賞落選作5作品をまとめたオリジナル小説集(注:川端康成文学賞受賞作1作を含む!!!)。気が小さいのにテキトー、だけどなぜか惹かれてしまう人物たち、モラルも常識もあんまり通用しない脱力しまくりの独特の世界観が炸裂する──ある意味、画期的で文学的コスパ最強の作品集。解説 町田康
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Posted by ブクログ
『どろにやいと』で典型的だが、どの話もとにかく主人公が不条理に流されていく。出羽三山を思わせる山村の集落に閉じ込められ出られなくなったモグサの行商人の、何とも言えない流されぶり(閉じ込められぶり)から目が離せなくなる。
『すっぽん心中』では偶然であった一人のおんなとの道行であり、『ひっ』ではたまたま持ち出してたまたま高値で売れた叔父のビンテージギターのおかげで行動範囲を広げて海外での一年を得る。
『ぴんぞろ』の(チンチロリンでのイカサマがバレて悶死した男を背負って帰る落語の「らくだ」のような場面が笑わせる)前半・後半それぞれで訪れる死、あるいは『ひっ』の旅の途中でのひっさんの死、『どろにやいと』の熊に襲われた父親の死、どれも唐突な死が人の世の無常を感じさせる。
流れ流されいく人生の実相というか、ロマン無き漂白というか。視点の主人公に駆動力が無いために周囲の人物の特異さが際立ち、流れる車窓から順繰りに舞台に上る人物たちを眺めるような面白さがある。
Posted by ブクログ
自らを卑下するかのようなタイトルが印象的な作品集。
形容しがたい不思議な感じの書きぶり。主人公は大抵、ゆるゆる・ふらふら・へらへら。そんな主人公が何だか不思議な体験をしてしまう、という短篇5篇。どれも面白かったです。
筆者による「それでも賞欲しい」といういじらしいあとがき、なるほどとうなずく町田康氏による解説も良かった。
何よりこちら、5篇はどれも単独で販売されていたもの。言わば5冊が1冊で読める・しかも結構面白いし、これはお得だなと感じました。
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短篇のタイトルはそれぞれ、「まずいスープ」「ぴんぞろ」「ひっ」「すっぽん心中」「どろにやいと」、とどれも個性的。
内容には触れませんが、大体主人公は20代、仕事は(色々理由があって)していない・ないしはフリーランス的な。ある意味自由な時間を持てていて、平日の昼間にも出歩けるような人。犬も歩けば棒に当たるではないけど、そんな人が外にでると、案の定、不思議な話に遭遇する、そんな感じの話たちです。そしてちゃっかり・しっかり女性にも手を出す。でも汚らしくはないかな。
町田氏も解説で指摘されていたように、作り込んだ虚構感はあまりなく、「自然な」駄目さ加減の男の日常(=小説になるくらい非日常的)、みたいな感じでしょうか。
飾りや衒いのない書きぶりは、金城一紀氏の作品に似ていると感じたり、あるいは駄目男の一人称の視点というと長嶋有氏のテイストにも通底するものがあるなあと感じました。
殺人モノ・刑事モノのような娯楽に特化したわけでもなく、かといって文学文学したお高くとまる感じもない。普段使いだけどちょっとちがう、無印良品みたいな印象を受けました。比喩が過ぎる!?
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ということで初めて戌井氏の作品を読みました。
ひょうひょうとしており、味わい深い作品でした。落選し続けつつも頑張る?筆者に自らを重ね合わせるわけではないのですが、underdogな私ですので、こういう筆者は応援したいですね。
また機会を見て渉猟したいと思います。
Posted by ブクログ
タイトルそのまま、もう芥川賞は取れずじまい?
次は直木賞で!
読んでみると、初期の作品2つがお気に入り。
まずいスープ
ぴんぞろ
確かに作品としては、プロが見れば上手くなっているんだろうけど、上記2つはシンプルで素直に読める。
それぞれの落選後のあとがきも楽しめて、そして町田さんの解説が凄い(小難しいのだがなぜか説得力があり、彼らしくまさに芥川賞受賞者なる人である)