【感想・ネタバレ】イラン・パペ、パレスチナを語る 「民族浄化」から「橋渡しのナラティヴ」へのレビュー

あらすじ

この本は、日本語での私の最初の刊行物となります。日本に招聘されたときには限られた人数としか話を共有することができませんでしたが、それをこうしてこの国の読者らと広く共有できるようになったことは、たいへんうれしく思います。

私がパレスチナ問題に関わるようになってからもう三〇年以上になりますが、人びとと話をしていても、世界に数ある紛争のうちのひとつについてさえ、それに耳を傾けさせたり、何か行動を起こさせるというのは、本当に難しいことです。

そうした世界の紛争のなかには、パレスチナにおける紛争よりもはるかに暴力的で血なまぐさいものもあります。しかし、パレスチナの紛争というのは、世界全体の安定と平和にとって決定的に重要な意味をもち、日本に対しても影響を及ぼします。日本を訪れたときに、多くの人びとがパレスチナについて気にかけ、あらゆる方法で手を貸そうとしているのを知り、心温まる思いがしましたし、力づけられました。日本の人びとがパレスチナについて実に広範な知識をもち、深くコミットしているのを見て、驚きもしました。

そうしたなかで私の使命は、傍観者ではいられないユダヤ人の倫理の声を届けることだったと思います。(日本の読者へから)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いろいろな本を当たれば当たる程自分の理解も深まっていく…イスラエルの歴史家としてイスラエル側でどのようなナラティブが語られているのかという視点、そもそも植民地主義として解するという点、その中でどのように共生を目指すことができるのか…という実際の営為が垣間見え、なるほど…の連続だった。戦争が起きているときに、国家のナラティブに反するものは認められないということ、植民地に入植するという視点で先住民を民族浄化すること、というのは世界の様々な箇所で起きたことであり、イスラエルが特筆して特別なのではないのだ…。アメリカの民主党政権の方がともすると共和党政権より親イスラエル派になりうるという観点も興味深かった。やはりまだまだ勉強し、思いを馳せたい地である…。

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2023年12月02日

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