【感想・ネタバレ】天才数学者の最愛 賢者タイムに本物の賢者になって恋を解く彼のレビュー

あらすじ

あぁ今夜も賢者タイムが長すぎる――
資産家でイケメンだけど女嫌いな天才数学者×面倒見が良くて振られがちなアラサー女子

第16回らぶドロップス恋愛小説コンテスト受賞作。



〈あらすじ〉

「こんなふうになるのは君だけだ」大学で働く沙織(28歳)は、29歳までに結婚相手が見つからないと田舎に戻らなければならない。焦る沙織は隠れイケメンの三枝義弘准教授に目をつける。彼を落とそうとホテルのバーに誘うが、その意図を勘違いした三枝に抱かれることに!? 童貞だった三枝は沙織のリードで射精し、直後に数式の閃きを得たことから、週末のたびに沙織をホテルに……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

結婚を焦るアラサー女子・沙織と、天才的な頭脳を持つけれど極度の人付き合い下手な数学者・三枝准教授。
最初は“29歳までに結婚できなければ田舎に帰らされる”という焦りから始まった恋の駆け引きが、気づけばお互いの人生を大きく変えていく。
偶然のようで必然だった出会いと、数学的なロジックでは説明できない「好き」という感情の不思議さが、軽妙な会話と濃密な描写で描かれる大人のラブストーリー。

読み始めは軽妙なエロコメ風で、「破れ鍋に綴じ蓋」な二人のやり取りにクスッと笑わされるけれど、進むにつれて二人の抱える孤独や、愛の形に対する価値観の違いが浮き彫りになっていく。
特にヒーロー・三枝の“賢者タイム中にひらめく数学者”という設定が最高にユニークで、発想の勝利。
ただのギャグにせず、そこに“論理では証明できない愛”を重ねる構成の巧みさに感動した。

沙織もすごく魅力的で、恋愛では空回りしがちだけど根は優しく情に厚い。
自分を卑下しつつも相手を真っ直ぐ思える彼女の姿には共感しかない。
そんな彼女が、最初は童貞で不器用だった三枝に惹かれていく過程が自然で、読んでいるこちらまでじれったくなるような“恋の方程式”を体感できる。

中盤のすれ違いも、派手な喧嘩ではなくて“考え方のずれ”として描かれているのがリアルで、まさに大人の恋。
彼の「君にしか感じない」「君が俺の証明だ」という台詞には、彼なりの愛の定義が詰まっていて心がぎゅっとなった。
そして、結婚を決意した三枝の行動力と、最後に導き出した“恋の答え”が本当に見事で、タイトルの意味がラストで綺麗に回収される構成にも拍手。

賢者タイムを笑いに変えながら、愛の深さを数学のように“解いていく”ストーリー。
エロスもユーモアもあって、だけどどこか温かい。
大人になってからじゃないと沁みない、じんわり心に残る恋愛小説でした。

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2025年11月06日

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