【感想・ネタバレ】国債は買ってはいけない! 誰でも儲かるお金の話のレビュー

あらすじ

国債、年金、預金、投資……どれもこれも「知」があれば勝ち、なければ負ける。かつての「宵越しの金は持たない」ということでも心配がない時代なら「お金の知」がなくてもよかったが、今はそうはいかない。特に、コロコロ変わる年金制度、突然襲ってくるバブルの崩壊など、個人個人の人生を大切にしてくれない現代社会では、自らが「お金の知」を持ち、人間となってライオンを檻に入れなければならない。それが巨大な力に庶民が対抗することができる唯一の方法なのである。
本書では、国債のマジックから話を始めて、物価、年金、ドル、株、預貯金まで、私たちの人生に深く関わるお金の仕組みを解説し、まずはお金を守る「知」を獲得することを第一とする。そして後半は積極的に打って出て、永久的に安心できるお金の儲け方に話を及ぼそうと思う。
暴力の世界でライオンの筋肉が何の役にも立たないように、お金の世界でも「お金を持っていること」は勝つためには無関係である。「知」だけがいるので、この本は今までお金に縁がなく「私は元手がないから、所詮ダメだ」と思っている人を対象にして書かれたものである。(「はじめに」より)

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Posted by ブクログ

郵便局などで販売されている個人向け国債は購入していませんが、銀行などの金融機関はわれわれの定期預金等を運用するために国債を購入していると聞いています。CO2やリサイクル問題で著作を読んでいた武田氏が「国債は買ってはいけない」という本を書かれていたことに最近気づいたので読んでみました。

彼の論旨によれば、国債よりも株に投資すべしということです、自分や子供に投資するよりも確実という点には疑問がありますが、結果としてお金の大きさだけで判断するのであればそうかもしれません。

日本が将来的に発展することを見越して日経平均を買うべきというのが彼の結論のようなので、日経平均連動の投資信託の今後の動向に注意してみたいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・国債を買ったら損になるというのは、お金の本質(「貯めれば減る」「使う人が得をする」「手数料で儲ける人がいる」「かなり儲かる仕事に使わないと減る」)から見れば当然(p36)

・イギリスと貿易したインドは、「香料をイギリスに運び、その代金のポンドをイギリスに運んだ」、イギリスは、「香料を買い、その代金はもどってくるのでそれを使った」(p44)

・ギャンブルの条件とは、1)勝ち負けは判断でなく「運」、2)多くの人は負けるが、少数は勝つ、3)場を提供する人が儲かり、客は損をする、である(p54)

・日本競馬においては、重賞レースやクラシックレース、日本ダービーに代表されるようなハンディキャップのない実力勝負のレースもあり(p54)

・血の通った物価には、1)時代とともに同じものの値段が代わる(年率10%程度)、2)時代とともに生活がかわる、3)人間は年相応の生活がしたいという条件を含むべき(p67)

・原油価格が上がると物価が上がる、その理由は、自然の恵みを、労力(人)、道具(鉄)、エネルギー(石油)で育てて製品にするから(p76)

・去年のお金と今年のお金は区別ができないので、年々少しずつお金の価値を下げるようにすると、実質的にサービスと値段がおなじになる(p82)

・国民年金制度ができた1961年の月々の支払は100円、初任給が1万円の時代であるので、今の価値にすると月:2000円(p112)

・若い頃の20年間の積立はほとんど無になる、その理由は「血の通わない物価スライド:4.3%」と「人に優しい物価スライド:10%」に差があるから、40年間で8倍異なる(5.4倍と45倍のため)(p115)

・積立というのは「足し算、引き算」で決まるが、時代とともに変わるお金の価値は「比」で決まる(p117)

・積立型年金の矛盾の理由は、積み立てた人が得をするのではなく、積み立てたお金を使う人が得をするため(p118)

・成長の限界(メドウズ博士)の論文で言われていることは、石油がなくなるから困るのではなく、石油のような資源が無限にあると生産量があがり、環境は破壊されて人類が危ないと言っている(p132)

・国民が貯めた1400兆円のうち、450兆円はアメリカが消費済、政府は600兆円使ったが今はない、返される可能性のあるのは民間に渡った350兆円のみ(p145)

・今の巨大会社が成功したのは、戦争で当時の巨大会社が一気になくなったから(p169)

・高卒の生涯賃金は1.7億円、大卒は2.2億円、その差は5000万円、その間の教育投資を1000万程度とすると良い投資である(p199)

・株に投資するとは、1)自分が歳をとらない、2)自分がいつも元気、3)子供は必ず立派になる、という前提をおくということ(p203)

・アドバイスを専門にやっているところの話を聞くのがよい、売買手数料はとらずに、アドバイス料のみをとるのが良い(p212)

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2011年12月06日

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