あらすじ
中学時代、地味な私が恋をしたのは向日葵みたいな人でした。因縁深い家同士、秘密の逢瀬を始めた凛と倫。放課後のファーストキス。誕生日プレゼントのピンキーリング。そして初めての夜……。激怒した両親に引き離されるも、出会いから十年、運命は二人を巡り合わせる。「もう二度と離さない」溶け合う身体に幸せと快感が満ち溢れて。無垢で一途な恋心が描く純愛の軌跡。
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Posted by ブクログ
青春から大人になるまでの10年単位の切なくも美しい純愛が描かれていて、読後に「二人にはどうかずっと幸せでいてほしい」と心から願いたくなる作品でした。
中学で出会い、高校でも再会しながら家族の事情で引き裂かれるヒロインとヒーロー。
互いに想い合っているのに、大人たちの都合でどうにもならない壁に阻まれていく姿は胸が締めつけられました。
それでも彼らは成長して大人になり、再び巡り会う。
そこから描かれる交流はとても丁寧で、二人の距離が縮まっていく過程が自然で、読んでいて何度も顔が緩んでしまうほど。
社会人になってからはヒロインに恋人がいるという複雑さも加わりますが、ヒーローの真っ直ぐさが物語を引っ張っていきます。モラハラ気質な恋人との対比で、彼の真摯な愛がより際立っていました。
子どもの頃は狭く息苦しい環境に縛られていた二人が、やっと心のままに生きられるようになるまでの道のりは長く険しいけれど、その分だけ尊さが強く響きます。
挿絵も物語を引き立て、まるで最初から最後までコミカライズを読んでいるかのように情景が鮮やかに浮かびました。
上野動物園や神保町といった舞台の描写もリアルで、場所のチョイスひとつひとつが臨場感を増してくれたのも印象的です。
陽キャでスポーツマンなヒーローと、地味ながらも芯を持つヒロインという組み合わせも魅力的。
お互いしか理解できない孤独を抱えていたからこそ築かれた唯一無二の関係に、純愛の尊さを感じました。
別れと再会を繰り返す中でも「やっぱり二人しかいない」と思わせてくれる展開が胸に響きました。