あらすじ
天才少女はなぜマンションから転落したのか。
世田谷区のマンションから小学六年生の少女・青島まどかが転落し、意識不明の重体となった。そのニュースは、世間を震撼させる。
なぜなら彼女は、中学受験に向けた模試で全国1位を取り続ける天才少女だったからだ。事故か、あるいは受験生を狙った何者かによる犯行なのか。日ごろ、高慢な態度で周囲の反感を買っていたまどかを疎ましく思う人間は多く、彼女が所属する塾・新光学院の保護者たちは噂話に余念がない。
そんななか、唯一まどかの心の内を知る大学生チューターの玲奈は、保護者たちの言動に怒りを覚え、事件の真相を探る決意をする。塾の室長に睨まれながらも、まどかについての情報を収集する玲奈。やがて不審な行動をする保護者が目に着くようになる。
ある日、塾に刑事たちがやってきた。室長に跳ね返されるように出ていった彼らを、玲奈はこっそりと追う。次に刑事たちが向かった先は、新光学院の塾生が住むマンションだった――。
受験という、人生の転機に翻弄されるいくつもの家族と母たちの業。そしてその先にある再生の光を描き出す。家族に真に必要なものは何かを見つめる、中学受験ミステリー。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
中学受験を巡る母と子の物語
本作の縦軸はミステリー。天才少女がマンションから転落したという事件。それは事故か、誰かの犯行か?
しかし作中で主に描かれるのは、天才少女の周囲の家庭の姿だ。
理想、憧れ、優越感、劣等感。様々な感情に揺さぶられる親(本作では特に母親)は、我が子のためを思って時間や資金を投じ、環境を整えようとする。しかし、子どもたちが必ずしもその期待に応えられるわけではない。意に沿わない我が子の行動に母は苛立ち、絶望する。
本作の主要な母子は、中学の御三家という最高峰を目指そうとしている。それゆえに受験勉強も苛烈だ。
勉強へのやる気を見せない子に対して感情をむき出しにして怒る母の姿は、ただ冷静に客観的に見れば「やりすぎだ」「たかが中学じゃないか」などと思うかもしれない。でも、当事者にとっては人生をかけた重大な局面なのだ。
そんな醜くも切実な感情に振り回される母子の姿に、読んでいて思わず胸が痛む。
Posted by ブクログ
子どもの幸せを考えた上での行動だと、母は思っている。でも周りから見ると、母の理想だけを追い求めているように見えてしまう。忠告も聞こえない。
中学受験期のピリピリした中での母子の関係、そして母親の混迷具合に目が離せない話。
中学受験を抱える世帯の話なのに、父がほぼでてこないのもひどい。母は一生懸命、子どものためと自身では認識している。みんなで話し合いながら、何事も進めるというスタンス、これをどんなときでも忘れない、、のは難しいのかな。子どもはやはり子ども。
Posted by ブクログ
中学受験を控えるそれぞれの家庭の母子のお話。天才少女と言われていたまどかがマンションから落ちて重症。殺人未遂か?自殺か?というお話。
人と人のかかわり、ましてや家族内での親子のかかわり方を改めて考えさせられた。何も言わなければ想いが伝わらないが、うまく伝わらないこともあって、なかなか難しいなと思った。