あらすじ
2016年、僕は、突然、肺がん告知を受けた。それも一番深刻なステージ4。すでにリンパにも骨にもがんが転移し、手術も放射線治療もできない状態だった。
「治らないのですか?」
「治りません」
医師は、きっぱりと言った。
僕は命の導火線がぱちぱちを音をたて、燃え進んで行く様子が浮かんだ。
しかも導火線はあとわずかしか残っていなかった。
僕はいつかは「死ぬ」ということを、知識では知っていた。
そして「死ぬ時に後悔しないように」と、自分なりに実践してきたつもりだった。
しかし目の前に「死」が現れ、唐突に断崖絶壁に立たされた。
足元は底なし真っ暗闇だ。
それは、頭で考えていたものや分かっていたものと、違っていた。
「つもり」と「体験」は、まったく別物だった。
命の導火線がわずかしか残っていないと分かったとき、僕は慌てふためき、動揺し、不安や恐れに取りつかれ、死を恐れ、強気と弱気の間を行ったり来たりジタバタとさまようことになった。
後悔しないように生きてきたつもりでも、実際に死に直面すると、みっともないほど右往左往した自分がいた。
しかし、そうしたいくつもの後悔により、僕は、思いがけず、人生の真実を知ることになる。
僕は、もうすぐ死ぬ。
その現実は、僕に、人生の意味、ほんとうに大切なこと、そして、限りある時間の使い方を教えてくれたのだ。
本書では、僕が体験し、そのときに感じ、考えたことをそのままお伝えしたいと思う。
それが誰かのご参考になれば、僕もがんになった甲斐があるというものだ。こんな嬉しいことはない。
※カバー画像が異なる場合があります。
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Posted by ブクログ
2025/5/4-31 全体的に心に響く言葉の引用が多い。自分を愛することが自分を癒し、大切にしていく礎となる。仕事が忙しく、自分が好きでやっているのにここまで身を削って良いのかと疑問に思いながら働いた時期に読んだからこそ、納得できる部分も多かった。筆者の言葉を引用するなら、何が起きても、「さて、そう来たか」と、できることをやっていく円応の姿勢でいる。すぐに動じてしまい、今ここに集中するのが難しいときこそ真似したい。私は自分のことを信頼できているだろうか。信じると信頼の違いも面白い。とにかくドキッとさせられる言葉が多かった。人生を模索しているうちに死ぬことを考えなければいけない時間になる。そうなのかもしれない。
Posted by ブクログ
著者の刀根さんにお会いしたことはありません。
しかし、こうもお互いの人生で同じような体験をし、同じように感じて生きてきたと知ると、他人のような気がしません。
刀根さんを知ったのは、刀根さんの処女作「僕は死なない」を読ませていただいたのが、きっかけでした。
当時の妻が何かで知って本を読み、私に「この人、パパみたいだから、読んでみて」と言われたのでした。
実際、読んでみると心臓病の難病と顔という病の種類は違えど、病気の宣告から突然の入院。そして真っ暗な中で出会った人のお陰で光を再び見るようになり、それが、きっかけとなって一般的な医学とは違うアプローチも勉強したり、食事など身体が喜ぶことをやってみたりと、色々やっているうちに病に対する意識や人生そのものに対する考え方が変わり、少しずつ病状が回復していった…と、まるで自分の物語を読んでいるような錯覚にさえ陥りました。
そして今作も、、、
幼少時代からの育ち方…生き方。
父親との関係。
病気になって後悔したこと…「◎◎しておけば良かった」
病気になって気づいたこと。
病気になって生き方を変えたこと。
今は毎日が幸せであること。
だから、病に感謝しているということ。
こちらも、まるで自分の物語を読んでいるかのようでした。
本を読みながら、刀根さんとハグしたい気持ちです。
お互い、医学的には、なかなか完治は難しい病気ゆえ、ここ2年、チャンス(ピンチの意)が訪れたりしていますが、ここでも新たな学びを得て、更に進化しています。
何より、僕たちは今日も生きています。
病に苦しむ人や、そのご家族にしか分からない想いがあります。
確かに病気になると苦しいこともあります。
しかし、「病気になっても、病人になってはいけません。」
そのために、この本がお役に立てるのではないかと思います。