あらすじ
2年生に進級のタイミングで、東京の男子校から群馬県立前崎中央高校に転校してきた安井良。特別教室で活動している部活でも見学に、と思った放課後、化学室で奇妙な女子生徒を見かける。着崩した制服の上に白衣を羽織った金髪ギャルは、何と牛タンを焼いていた!? その女子生徒は、理系クラスのトップで科学部の2年生・木暮珠理だった。こんな強烈な出会いから科学部の面々と交流することになった良は、図書室の呪いの忌書事件、黄泉からの手紙事件、トンネルの悪霊事件に巻き込まれていく――。「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」優秀賞を受賞した、学園化学ミステリ!/【目次】#33 図書室の忌書事件……図書室である本を手に取ると呪われる!?/#34 黄泉からの手紙事件……下駄箱に届く白紙の手紙は黄泉からのメッセージ?/#35 トンネルの悪霊事件……丑三つ時にトンネルのまん中で手を叩くと悪霊に憑かれる!?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
作者の下村さんは、カクヨムでいい作品をたくさん書いているのに、もう一つブレイクできてませんが、こういう作品を発掘してくる創元社編集部はさすがです。読者任せの「なろう」とは違って、出版社と組んでこうした賞をいくつも設けているカクヨムの良い所だと思います。
ホラー風味の超常現象を、科学的に解明するというのは、まあわりとよくあるパターンではありますが、この作品は、東京から群馬に越してきた文系編入生の男の子が、理系女子の暴走に巻き込まれていくというかたちで、文系/理系、都市/地方といった枠組みを上手に使い、双方の良さ・強みをうまく引き出しています。何か抱えた男の子が、東京から地方へ行って、そこでの出会いを通して成長していく・・・という意味では『銀の匙』の主人公と少し似たものも感じました。
主人公の男の子が父親が新聞記者という設定を生かし、作品の中に社会科学的な視点もナチュラルにとりこんで、地方が抱えている問題に目を向けている点もGOODです。
カクヨムには、この作品のヒロインを、犯罪心理学者と組ませて、その後を描いた続編が連載されていますから、この作品がちゃんと売れてくれれば、その後の活躍も確実というものです。
こういう作家さんが、世に出てきて欲しいなあと強く感じさせる作品でした。
Posted by ブクログ
ミステリ風味の恋愛物かなと思って、期待半分、不安半分で読みましたが、思った以上に化学でした。
登場人物もそれぞれに魅力的で、まだ明かされていない事情も気になります。
続編が出たらまた読みたいので★5
Posted by ブクログ
帯を見て、衝動買いしました。
内容も程よい青春と謎解きを読むことができて、振り回される中でも主人公がヒロインのことを信じていく姿もよかったです。
ボーイミーツガールの学園ミステリー。
どちらも好きな私としては、非常に楽しく読めた作品でした。
いずれ続巻が出ることを期待してます。
Posted by ブクログ
日常のちょっとした謎を化学を使って解明するミステリーかと思ったら、
化学の謎を化学的に解明していた。
ミステリー的な要素よりも
青春的な要素を楽しむべき作品。
青春の旬は一瞬。
でもその事実に気付いた時には
だいたい旬って終わってるんですよね。
Posted by ブクログ
主人公と化学室で牛タンを焼く金髪ギャルとの出会いから始まるケミカルミステリーで、『図書室の呪いの忌書』『黄泉からの手紙』『トンネルの悪霊』といったオカルト染みた事件を化学的に分析して真相を導く構成が天久鷹央シリーズやガリレオシリーズを彷彿とさせる感じで面白かった。
Posted by ブクログ
東京から群馬の高校に転入した主人公を、文系女子と理系女子が取り合う。なんてベタな展開だろうと思ったけど、なかなか面白い本でした。
類型としてはリケジョなんだけど、舞台は高校なので本格的なん実験器具などはない。そこを知識と工夫で解決していく感じ。オカルトを科学的に解明する流れは、ある意味ステレオタイプと言えるかもしれません。まだ掘り下げが足りないところもあるので、シリーズ化するといいですね。
Posted by ブクログ
創元推理文庫という理由で購入
他のレーベルなら表紙という理由で買わない
良く例えれば米澤穂信の「古典部」シリーズの化学部バージョンで、群馬愛を感じる描写や、会話のやりとりも読める文章だった
登場人物の造形もなだらかで穏やか
難点は理系に拒否反応がある人(自分)には読み飛ばし必至で専門用語に溢れているところか
特に最終章
謎の真相は予想がついてしまうのと、牛タンを食べていた理由には拍子抜けなので星3
狙ったものか知る由もないが、メディア展開向けの内容だと思う
創元推理文庫でシリーズ化するなら買い揃えます