あらすじ
極右の中で白人の滅亡への恐怖は、女性の中絶を阻む意志へと直結している。超富裕層の資金を得てアメリカ政治で主流化し、欧州でも覇権を握りつつあるファシズムの最深部を、気鋭のフェミニスト・ジャーナリストが追う。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
アメリカや欧州で家父長制的な白人男性至上主義を維持したい極右勢力が白人の絶滅を喧伝し、どのように女性(特に中絶の権利)、移民、LGBTQ+を攻撃してきたか、詳細にまとめられている。
参政党の登場とそれに影響される自民党など、今の日本の極右勢力の台頭とアジェンダの右傾化に通じる部分がある。
リーマンショックで露呈した新自由主義的な経済の限界と絡めて論じていたのは興味深かった。政府はその時その時の都合で女性に生産労働か再生産労働(もしくは両方!)を押し付けようとする。本書では解決策は提示されていないし、そもそもそんなものがあるかどうかも怪しいが、人権やSRHRの概念を知っている以上、それらがなかった、知られていなかった時代には戻れない。不安材料があるとしたら筆者が希望の光として挙げていた「市民の抵抗」が日本ではまだまだ弱いところで、デモやストライキが市民生活に根付いてる欧米と同じやり方は難しいにしても、もっと活発にしていく必要があるし、私もそこに貢献できる方法を考えたい。