あらすじ
2023年7月の刑法改正により、不同意性交等・わいせつ罪が新たに規定され、従来の男女関係を根底から覆しかねない状況となっている。芸能人やスポーツ選手を始め、不同意性交による事件や騒動が次々と起き、日々新しいニュースが報じられているのはご存知の通りだろう。
恋愛からナンパ、マッチングアプリでの出会い、パパ活、ギャラ飲み、キャバクラや風俗、そして夫婦間でさえもこの新法の影響を受けているなか、何をすれば逮捕されるのか、どこまでがセーフなのか、その線引きはほとんど知られていない。現状で女性側が「同意していなかった」と警察に駆け込めば、女性の証言のみで警察は被害届を受理する傾向にあるため、世の男性側は戦々恐々としているのだ。
芸能界やスポーツ界においても、不同意性交事案が多発しており、男女関係における法的な扱いについての解説はトレンドとなっているが、「性交渉」という、成人男女なら必ず行う行為だからこそ、今回の法改正はすべての人々に影響を与えているのだ。
本書ではあらゆる恋愛や交際、性交渉に影響を及ぼす改正法のポイントを徹底解説。女性側へのケア、逮捕されないためにすべきこと、有罪・無罪の線引きなど有名弁護士がレクチャー。想定シーンQ&Aも掲載する
第1章 不同意性交の定義
第2章 夜の街にはびこる性犯罪トラブル
第3章 親しき仲にも適用される不同意性交
第4章 性犯罪の嫌疑をかけられないために
第5章 濡れ衣を着せられないための法律武装
第6章 性交渉以外に潜む性犯罪リスク
第7章 不同意性交Q&A
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
非常に分かりやすい本だった。私が大学で法律を学んでいた時と刑法177条は全く違うものとなっている。
被害証言だけで逮捕されてしまう、というのは、かなり危うい話ではないだろうか。当然、美人局や脅迫がまかり通っているようだ。かなり遡っても罪に問われるようだし。もちろん、今までは泣き寝入りするしか無かった被害者が訴えやすくなった、ということは非常に良いことだと思う。だがしかし、悪意を持って相手を陥れようとか金銭を要求しようとかを考えた場合、それを防ぐ手段はあるのだろうか。
スーパークレイジー君なる名前が出てきたことも驚いた。そういや、そういう政治家いたなあ、と思い出したからだ。そうか不同意性交等致傷の罪に問われていたのか。
強姦罪では既遂は性器の挿入があるかどうか、だったが、今は他のもの(指とか玩具とか)でも既遂にあたるようだ。わいせつにとどまるか、不同意性交にあたるかどうかは、かなり量刑に差が出てくるのもポイントだろう。
同意があったかどうか、というのが行為の性質上、非常に微妙になりやすいし、後から「不同意でした」とか「嫌だと思っていたけれど立場上言えませんでした」などと言われたら不同意性交になる可能性がある。
女性をものとしか思っていないようなもの、著書にでてきた、ナンパ塾「リアルナンパアカデミー」や「スーパーフリー」サークルみたいなのは無くなってしまえばいい、と思っている。昔、「東京いい店やれる店」というガイドブックのようなものがあった。露骨で生々しいが、本格的に売買春を取り締まるのなら、現行177条のような規制がないと難しい。これによって守られる人がたくさんいるだろう。
しかし暴力団対策課が摘発した美人局グループもたくさん出て、暗数はもっともっといるだろう。これをどのように取り締まって被害を減らしていけばいいのかは、利用者が気をつける以外の方法は分からない。
風俗店、メンズエステ店、などは当初言われたとおりのサービスを受けるだけにとどめた方が無難だ。
また恋人はもとより婚姻関係にあっても不同意性交は成立するらしい。今のところ逮捕事案は多くは無いそうだが。経済的、社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること、にあたる場合が多いからか。著書の例にあった不倫相手を不同意性交で訴え、不倫相手の妻からの慰謝料請求をかわした話は凄い、と感心してしまった。よくネットのまとめ記事やネットの漫画などにある「妻からの不倫相手への慰謝料請求」は伝家の宝刀ではない。
『どんなに相手との関係が親密であっても、「当たり前のセックス」などないということを心に刻みましょう』という著者の言葉に大いに頷いた。
相手から、事後に「不同意でした」と言われないために大事なことで著者が挙げているのが相手との丁寧なコミュニケーション。
思いがけず、訴えられたというパターンで多いのは
・避妊具を使用しない・行為後、すぐに相手と離れる・行為後、相手からの連絡に返事しない
と言うことらしい。日本では相手に気づかれないように避妊具を外して行為をすることを取り締まる法はないが、海外では「ステルシング」と呼ばれ、カナダ、スイス、ドイツ、イギリスでは性的強要にあたるという。日本でもそうして欲しい。
この本では女性、と書いていたが、男性でも別に不同意性交を訴えることはできると思うので、相手、と私は書いた。しかし妊娠の不安に関しては女性しかあり得ない。上記の多いパターンでは女性は絶対に不安になるに決まっている。その不安から後から「不同意だった」と言い出すケースがあるだろうということは納得できる。
以前の男性情報誌に書かれていた女性の口説き方マニュアルは忘れろ、と著者は書いている。本当にその通りだ。昔読んだ本では、「女性がハンカチをお尻の下に敷いたら強姦にならない」なんてまことしやかに言っていた。今、そんなこと言ったら「はぁ?」って返されるだろう。
何故この法律が改正され、どのような趣旨で運用されているのかが、沢山の人に理解されて欲しいし、泣き寝入りする被害者も恐喝に使おうとする悪人も減って欲しいと心から思う。
Posted by ブクログ
文字通り、セックスコンプライアンスについて。
これまで見逃されてきたことが犯罪になる可能性があることがよくわかった。
強姦(未遂含む)がダメなのは当然として、夫婦や付き合っているつもりでもNGなことがあることがわかった。
Posted by ブクログ
サッカー選手による性加害疑惑の弁護を務めた不同意性交罪等の性犯罪に詳しい弁護士。
どのような状況が性犯罪に該当し得るのか、その範囲はかなり広く、被害女性の意思による部分が非常に大きい。逮捕されてしまうと、実際に有罪とならなくても、重大な社会的な被害を受けることになる。どのように回避したらいいのか、また万一加害者となりそうになったらどのようにしたらいいのか?具体例も多く現代に読むべき一冊。
Posted by ブクログ
"私の知人に 40歳の弁護士がいます。彼は女性との性交渉の経験が一度もありません。彼によるとその理由は「性行為につきまとう法的リスクを考えると、女性を誘うことを躊躇してしまう」とのことです。真面目な男性ほど性交渉に対して過剰に萎縮してしまい、真っ当な男女関係を築けなくなっているのです。 "
フェミニズム、企業のリスクヘッジ、プライバシー、SNSの発達、社会的抹殺、すべて正しい。
すべて正しいから一側面から社会は機能しなくなる。
この塩梅は本当に難しいと思う。
その中で弁護士である著者が人と人の問題、配慮であるとした部分、そこがこの世間いや、どの世の中をも生きる真っ当な方法であると思った。
Posted by ブクログ
普通に生きてたら避けられない男女間のトラブルをどう避けるかが主題だけど、現状の過剰・拙速な対応が社会全体の萎縮や司法の信用失墜にまで繋がることを危惧した内容。
タイトルの面白さで買ったけど内容はタメになる
Posted by ブクログ
「弱い立場の人を守る」という大原則の大切さは言うまでもないが、その裏側に潜む危うさについて深く考えさせられた。
守るための仕組みが、時として悪用されたり、警察などの公的機関による「勇み足」とも取れる対応を招いたりしている問題も深刻に感じた。
さらに性的な事柄に限らず、コンプライアンスが厳格化されすぎることで、社会全体が過度に萎縮してしまっているのではないかという懸念も覚えた。
一度「叩いていい対象」だと認定されると、事実関係が曖昧なままでも徹底的に攻撃して排除しようとする現代特有の風潮も相まって、「本当にこのままでいいのか」という著者の問いかけは、今の日本社会が直面している息苦しさの本質を突いているように感じる。ただ厳しくすればいいという事ではなく、どうすればよりよい制度になるのか考えたい。