【感想・ネタバレ】「知の巨人」たちがやっている非合理な思考術 いかにして「人生の難問」に答えを出すべきかのレビュー

あらすじ

AIやアルゴリズムでは答えの見つからない、究極の問い〔ワイルド・プロブレム〕を克服する「超・逆説的」なアプローチ!

-なぜ、スタンフォード大学のダイアコニス教授は、意思決定セオリーの第一人者にもかかわらず、みずからの転職に関する意思決定に際して、その理論を採用しなかったのか?
-なぜ、「進化論」の偉大なる科学者ダーウィンは、みずから作成した「損益対照表」に逆らってまで、結婚することを選んだのか
-なぜ、古今の著名な数学者や心理学者たちは、人生における重大な決断の場面で「コインを投げる」よう、アドバイスをするのか?

本書を読めば、その「謎」が解ける!

――本文より
人生の中で向きあう重大な決定事項、つまり「ワイルド・プロブレム」については、データや科学など、いわゆる理論的なアプローチでは答えが出ません。本書では、そのような問題に取り組むにはどうすればいいのか、みなさんが考えるお手伝いをします。
きっと、心の不安がやわらぎ、穏やかな気持ちで、人生の旅に向かえるはずです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

経済学者による味わい深いエッセイ。
「合理的判断」だけでは乗り切れない、人生における重要な意思決定の方法について、様々な角度から論じている。
「今だけ金だけ自分だけ」がはびこっている一方、激動の時代に直面している今、大切にしたい考え方を学び、勇気をもらえた。

・信条を何よりも優先する。決断が自分らしさを作る。
 自分の本質に関わる物事に関しては、妥協をしないこと。
 誠実に生きること。正しい行動を取って、自分に誇りを
 持とう。少なくとも、そこを出発点にするべき。
・善良さとは、実践の積み重ねで獲得できるもの。
・コストと利益のリストは「狭い功利主義」である。
 「功利主義」と「繁栄」、この2つを全く別物と見なし、
 どちらを重視すれば自分の理想の生き方に近づけるかを
 考える。

テイム・プロブレム:科学、エンジニアリング、論理思考、 
 定量化、前例を参考にすることで解決に近づける

ワイルドプロブレム:キャリア・結婚・道徳的問題など
 論理的思考やデータだけで解決できない。「解決すべき問題」ではなく、実際に経験し、味わい、楽しむべきミステリーツアーである。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

損得で判断する。利己的に思えるが、誰しも自分が得するかどうかを強力な判断基準にしているし、損をする判断をしている隣人を心配したり見下している。

だが、判断基準は、必ずしも損得だけではない。その「非合理」な判断の背後には何があるのかを解き明かそうとするのが本書。特にその後の人生にも影響の大きな決断をワイルド・プロブレムと呼ぶ。あなたは正しい判断ができるだろうか。

すぐに思いつくのは「好き・嫌い」。正しさなど後付けでしか評価できないのだから、本来、好きなものを選べば良いと思う。勿論、そこに損得を計算できる要素もあって、物事は複合的に考えられるべきだ。「知の巨人」はどうしているのか。

「知の巨人」が正しいのは、その専門知についてだ。巨人の人生が必ずしも順風満帆であったかは、本書では語られない。だから、その思考術を無批判に肯定するのは誤りだ。

だが、本書で紹介されるマイルール、自らの判断基準としての「信条や信仰」を持つという考え方は、極めて実践的で合理的だと思った。酒は少量、タバコは吸わない、異性を商品化した店にはいかない、お金の貸し借りはしないなど。あれ、この辺は損得でも判断できそう。そうじゃなくて、結婚や出産、居住地や仕事とか、かな。

ー ベンジャミン・フランクリンは、このことをよく理解していました。彼は著書「フランクリン自伝」の中で「合理的な人間でいるのは実に都合が良い。自分のやりたいことのすべてに、そうすべき理由を見つけるか、作り出せるのだから」と書いています。ですから、ルールを使いましょう。狭義の功利主義が繁栄と衝突するときは、「プールの魅力はわかりやすい」「プールはどうしても魅力的に見えるもの」と思い出してください。そして、自分の信条を忘れないでいられるように努力を重ねて、それを何よりも優先するのです。「優先する」とは、そうすべきでない重大な理由がないかぎり「必ず」信条に従うという意味です。

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2025年06月29日

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