あらすじ
この世界が、あなたにとって、ちょっとでも生きやすくなりますように。
自分自身を優しくいたわる「ヒント」がつまったエッセイ集。
大江健三郎、ハン・ガン、津村記久子、文月悠光、『ブルーロック』、『君と宇宙を歩くために』……文学研究者が出会った、人生に寄り添ってくれる「言葉」と「物語」。
「養生という言葉を私は自分自身の生を養うさまざまな物語とつなげて考えてきた。ちょこんと横に置いて、ヒントとなる物語。自分の感情を教えてくれたり、生きる力をくれるような表現。それらを養生する言葉として捉えてきた。養生する言葉は、生きるための知恵であり、私よりも先に生きてきた人たち、同時代に生きている人たちが重ねてきた、輝くような実践の集積である。」
装幀・装画:鈴木千佳子
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Posted by ブクログ
トラウマからの回復が養生なのを明確に言葉にしてくれた。自分が何をしようとしてきたのかを言語化してもらったときの泣けてくる感覚、あなたとわたしはこんなにも遠いところにいるし私のつらさはあなたに比べたらとても軽いものだしあなたのつらさはわかることはできないけれどどれほどつらいだろうと泣くことは本当に久しぶり。この人が私が読んだものに関して書くことが感じていて何度も読み返して受け取りなおして言語化できずにいたことの見事な結晶化だったのでびっくりした。拾い上げる場所が端的。ぽこっと顔が水の上に出た感じ。足に絡んでいたたくさんの水草のうち一つが切れたような。たしかに、救われた。しなおす、し戻すこと。ここに出ているものを少しづつ読んでいこう。
Posted by ブクログ
養生、と見て思い浮かんだのは、自分の身体や心を整える、みたいなことだったが、読んでみると思ったより広いテーマにわたって書かれていた。
養生は、個人ではできない。社会の中で生きている限り。
社会について考え、社会をよくするために動くことも、ひいては自分の養生となる。
そして、自分以外の誰かのことを考えたり動いたりするためには、まず自分を大事にしなくてはできない。
自分をないがしろにしないこと、他者をないがしろにしないこと。遠隔の地の人の苦しみは、自分の行い(何もしないことを含む)と無関係ではないこと。
自分を大事にすることと他者を大事にすることはぐるぐる繋がっているのかな。
Posted by ブクログ
「養生」自分をいたわること。岩川先生に進路を相談した時に、問題を細分化すること、自分の研究の動機となっている悲しみや辛さを言語化(「悲しかった、辛かったという簡単なものでいい」)することと言ってもらったことが身にしみた。プロフェッショナルに出てた看護師さんとも会ってたんだ。