【感想・ネタバレ】さよならバグ・チルドレンのレビュー

あらすじ

◆第一歌集
風に夜に都市に光に怯えてる僕の背中を登りゆく蟻
「風」「夜」「都市」「光」、つまり「僕」は自然と人工からなる世界の全てに「怯えてる」ことになる。だが、その「背中」の絶壁を登りゆく小さな「蟻」は、怖れという機能をもたない勇気の塊なのだ。
(帯より:穂村弘)


◆自選十首より
うろこ雲いろづくまでを見届けて私服の君を改札で待つ
麦揺れて風はからだをもたざれど鳥類であることをみとめる
掌のうへに熟れざる林檎投げ上げてまた掌にもどす木漏れ日のなか
放課後の窓の茜の中にゐてとろいめらいとまどろむきみは
りすんみい 齧りついたきりそのままの青林檎まだきらきらの歯型
さみしいときみは言はない誰のことも揺れるあざみとしか見てゐない
鉄道で自殺するにも改札を通る切符の代金は要る
たぶん親の収入超せない僕たちがペットボトルを補充してゆく
放たれし鳥たちよわが手を離れ一点のあるがごとき静夜へ
送電線の向うの雲がちぎれたら適度な距離ではじめよう、また

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

この歌集と出会えたことは幸運だった。ただ書店をふらついているだけなら、決して出会えなかっただろう。紡ぐ言葉の難しさのなかに、様々な想いが懐かしく甦りそうになる。

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2015年02月01日

Posted by ブクログ

カーテンが開け放たれてきみが待つ遠くの街へ風はつながる
走らうとすれば地球が回りだしスタートラインが逃げてゆくんだ

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2012年09月29日

Posted by ブクログ

みずみずしい、けれど作り物のような情景だなと思った。それがまた魅力のような気もした。引用したみっつが好きだった。

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2019年10月23日

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