【感想・ネタバレ】色の物語 ゴールドのレビュー

あらすじ

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私たちを魅了する、崇高で俗物的、不滅の存在

◆金が体現するのは善か悪か
古来より金は神聖さと慈悲の輝きを放つ神々の色であると同時に、世俗にまみれた富の象徴でした。不滅の存在である金に、私たちは魅了され続けています。

◆金で描かれたさまざまな作品
金色を使ってある作家は悪徳を、ある作家は美徳の栄光を描き、さらには究極の愛も描かれました。本書ではツタンカーメンのマスクから、クリムト、ルーベンス、ホイッスラー、北斎、ウォーホルなどによる金色を用いた作品を堪能できます。

◆構成(抜粋)
ゴールドと人類/ゴールドの世界地図/ゴールドのさまざまなニュアンス/ゴールドの表現に用いられる色/ツタンカーメンの黄金のマスク/ダナエと黄金の雨(ティツィアーノ)/サルダナパールの死(ウジェーヌ・ドラクロワ)/仏陀(オディロン・ルドン)/接吻(グスタフ・クリムト)/モノゴールド、黄金時代(MG48)(イヴ・クライン)/The Golden Calf(ダミアン・ハースト)/侯爵夫人マリア・セッラ・パラヴィチーノの肖像(ピーテル・パウル・ルーベンス)/富の寓意(シモン・ヴーエ)/鳳凰図屏風(葛飾北斎)/黒と金色のノクターン―落下する花火(ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー)/出現(ギュスターヴ・モロー)/パラス・アテナ(グスタフ・クリムト)/黄金のマリリン・モンロー(アンディ・ウォーホル)/マイケル・ジャクソンとバブルス(ジェフ・クーンズ)ほか

◆「色の物語」シリーズ
その色はどこから来て、どこへ向かうのか。古今東西文明のなかで、さまざまな意図で使われてきた「色」の歴史とストーリー、影響力を、名だたるアート作品の美しいビジュアルでたどる。「青」「ピンク」「黒」「赤」好評発売中。

【著者について】
ヘイリー・エドワーズ=デュジャルダン
美術史・モード史研究家。エコール・デュ・ルーヴル、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション卒業。キュレーター、フリーランスのライターとして、ヴィクトリア・アンド・アルヴァート美術館の調査事業や展覧会に協力するほか、個人コレクター向けのコンサルタントとしても活躍する。ギ・ラロッシュのメゾンのアーカイブ部門の設立を手がけた。パリでモード史、ファッション理論の教鞭をとる。

【翻訳者について】
丸山有美 Ami MARUYAMA
フランス語翻訳者・編集者。フランスで日本語講師を経験後、日本で芸術家秘書、シナリオライターや日仏2か国語podcastの制作・出演などを経て、2008年から2016年までフランス語学習とフランス語圏文化に関する唯一の月刊誌「ふらんす」(白水社)の編集長。2016年よりフリーランス。ローカライズやブランディングまで含めた各種フランス語文書の翻訳、インタビュー、イベント企画、イラスト制作などを行う。

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Posted by ブクログ

私にとってこのシリーズを読むことは、高級チョコを愛でることに似ている。
各テーマに沿った選りすぐりの作品が世界中から集められ、まるで一つの箱に収められているよう。一粒一粒が珠玉で、我々の目を楽しませてくれる。
青・ピンク・黒・赤、そして今回遂に「ゴールド」まで辿り着いてしまった…!

ゴールドといえば、私はまず「金の茶室」といった権力の誇示を連想する。
昔からゴールドは神の色と相場が決まっていて、神殿といった宗教施設に多用されてきた。また、世界中の権力者たちはそうした神聖な色にあやかろうとするかのごとく、自身の周りをゴールドで固めてきた。
最初に登場する「ツタンカーメンの黄金のマスク」(P 16)が、良い例かもしれない。

本当にいつ見ても滑らかな黄金!これぞ永遠の輝き・美しさ…!「2枚の金板を重ね、槌で打ち出して作られ」ても、こんなに滑らかになる?
悲劇の少年王を思って丁寧に設計されたんだなーと、一人歴史ロマンに浸っていると、「別の人物のために作られていた説」が本文の隣で浮上していた…。
歴史ロマンやなくて、歴史ミステリーやん。

権力でいえば、「侯爵夫人マリア・セッラ・パラヴィチーノの肖像」(P 72)も抜きん出ていた。ただ本作は威圧感というより、圧巻なんだけど妙なとっつきやすさを感じたんだな。
1606年に描かれたイタリア貴族の肖像画で、女性自身ではなく、正真正銘彼女の身分を描いている。しかし、ゴールドの装飾が施されたドレスを纏っていながら、表情は柔和で、畏まった様子が見られない。
何だかゴールドを上手く手懐けているみたいで、「やっぱ一流は違うなー」と、自動的に感心していたのだった。

「金は、わたしたちの失敗であり希望であり、現実であり、恐ろしい幻想なのです」(P 8)

日本からは「黒樂茶碗」(P 80)と「鳳凰図屏風」(P 82)が「出展」されている。
本書の著者はフランス人だが、日本人以上に、茶器の価値を理解しておいでだと思う。ざっくり言うと、黒地に金の富士山が浮かび上がった見栄えなのだが、それを「何事にも動じない静かな心」と的確に表している。
前述の権力とは違えど、ゴールドはここでも揺るぎない存在だった…!

「鳳凰図屏風」は北斎作らしいが、初見だ。それもそのはず、現在はボストン美術館蔵との事…!(「黒樂茶碗」は大英博物館蔵)
ゴールドを背景に極彩色の鳳凰が屏風の中を舞うという、何ともダイナミックな演出。良いものはすぐ買い取られちゃうんだな…正直、もっと多くの日本人に知ってほしい作品である。

P 56の”The Golden Calf”が未だに頭からこびりついて離れない。ダミアン・ハーストの作品で、何とゴールドで縁取られたショーケースに本物の子牛がホルマリン漬けにされている。
2ヶ月前に読んだ内澤旬子氏の『世界屠畜紀行』を思い出す。かつて生きていた動物を作品にする行為って、食べるのと同じくらい考えさせられないか…?

何とも刺激的で、矛盾した味わいを持つ「チョコたち」だった。
神の色ねー…栄光をもたらしたり溺れさせたり、我々を弄ぶ罪な色の間違いなんじゃないか?

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

色の物語シリーズ第5弾。全シリーズ読みたいのですが値段も値段なので。ゴールドの作品や歴史と言えば、ツタンカーメンやクリムトの接吻がパッと浮かびますが、ちゃんと載っていました。まさかの出会いはジェフ・クーンズのマイケル・ジャクソンとバブルス。こんな所でバブルスくんが見られるなんて。

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2025年02月01日

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