あらすじ
私はこの世で智恵子にめぐりあったため、彼女の純愛によって清浄にされ、以前の頽廃生活から救い出されることが出来た――。この人の他に心を託すべき女性はいない。そう思い定めた高村光太郎と智恵子の愛、生活苦、そして芸術活動と闘病。24年間の結婚生活の果て、智恵子の死に打撃を受け、激しい空虚感に見舞われた光太郎。自然とベートーベンとセザンヌを愛した一人の女性の苛烈な運命を余すところなく描いた名詩集、決定版!
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Posted by ブクログ
製作するものの心はその一人の人に見てもらひたいだけで既にいっぱいなのが常である。私はさういふひとを妻の智恵子にもっていた。。。「郊外の人に」の『わがこころはいま大風の如く君にむかへり…』ここが好き。
Posted by ブクログ
たとえ貧困に苦しんだとしても、
たとえ自分の夢を諦めざるを得なかったとしても、
たとえ精神を壊してしまっても、
伴侶からこんなにも愛された彼女が羨ましいと思う。
これほど愛にあふれた本を私は知らない。
Posted by ブクログ
なんて愛の形だろう、と思った。こんなふうに愛されたら、どんなにか気持ちいいだろう、と思った。けれど、捩れていった智恵子の精神にはそれなりの生活背景があって、光太郎は、それに気付かないまま、自分の中にただ愛を吐き出し続ける。智恵子にではなく。その理想の高さ故に、この詩集は美しくて、儚くて、読む人間の憧れを引き摺り出してくる。……書く人間としては、高村光太郎の言葉に対する真摯な姿勢がとても勉強になりました。
Posted by ブクログ
2012.6.25.mon
【経路】
芸術家の愛の表現に興味があって地元の本屋にて。
【感想】
どこを見ても智恵子智恵子!
くらっとするような愛の深さ。
勝気で美意識が高くて階級や濁った空気を嫌う智恵子。純粋に生きようと貫くと社会性を失って狂人とされてしまう。
わたしにはあなたしか、あなたにはわたししか、という、周りを絶っての狭い世界での共依存という愛の形は、わたしの肌には合わないけど理解はするし、その美学も認識できる。
愛する人がもし狂ってしまったら。
死してなお愛する、自身の一部とする感覚とは。
どちらかというとそちらの観点でわたしの中におさまったな、という感想。
【うんうん】
・詩を書くのに文語の中に逃げ込む事を結してすまいと思った。どんな傷だらけでも出来るだけ今日の言葉に近い表現で詩を書こうと思った。文語そのものから醸成される情趣と幽玄性と美文性とは危険である。
→見られることを前提だと、文にそのまま書くって難しい。
・論争とは結局共同の心理追求に他ならない。よほど理性の発達障害した人間同志でなければ本当の論争は行われにくい。
→政治化でもこどもな口喧嘩するしね。わたしも反省。
【内容メモ】
高村光太郎の、妻智恵子に対する愛を綴った詩集。