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どうやってウナギの天然卵を発見したかというだけでなく、どうして今まで見つからなかったのかについて、その時々の作業仮説に基づいて述べられているのが、night scienceの記録として面白かった。
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ウナギは淡水魚と思っている人が多いが、実はニホンウナギは遠く数千キロも離れた太平洋のど真ん中で毎年、産卵していた。本書は、大海原で親ウナギが産卵する瞬間をピンポイントでつかまえたい、この究極の謎に挑んだ科学者たちの冒険の記録だ。度重なる失敗にもめげず、海山仮説や新月仮説や塩分フロント仮説などで絞り込み、ついに世界初、親ウナギの捕獲と天然卵の採取という金字塔樹立までの足跡を追う。
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ウナギの生態が近年まで謎に包まれていたというのは,よく知られた話だが,「では,どの辺が謎だったの?」と聞かれると,上手くこたえられる人は少ないだろう.
ウナギは回遊魚である.海で生まれ,河に遡上し,産卵のためまた海に帰る.そこまで分かっていながら,生態が謎に包まれているとされていたのは,数千キロにもわたる大回遊を行っているにもかかわらず,産卵ポイントがごく狭い領域に限られており,しかもそれが毎年転々とするので,産卵している姿や卵の姿が捉えられていなかったからである.本書では,ウナギの卵発見に至るまでの,世界の(そしてとくにアジアの)研究者の取り組みが,比較的詳細に描かれている.ちょっとした謎解きのような感覚で読めるだろう.
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長い間時間をかけてウナギの謎に迫る、まさにアドベンチャー。
おかねも時間も、多くの人の人生もかけて卵を探し出したのは物語としても非常に面白かった。
積極的にネガティブデータをだした、というくだりがあった。
富豪的というか、なかなか制約があって誰でもできる作戦ではないよな、と思ったけれど、当時はデータもそんなに出ていないわけで、なかなかできない決断だと感じた。
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著者の塚本氏はウナギ研究の世界的第一人者。
本書は、ウナギ研究の第一線でキャリアを積んできた著者が世界各地、特に(著者自身が関わってきた)日本のウナギ研究の歴史の解説を行っている解説本です。
簡単に内容を紹介すると、
冒頭、ウナギが何を切っ掛けに産卵の為の回遊を開始するのかと言った簡単な解説が行われ、以降、著者の研究キャリアを織り交ぜながら約40年前から2009年のウナギの卵発見とその後日談までうなぎ研究の流れを解説。
そして最終章で長年に渡る研究結果に基づくウナギ保護策を提唱。
と言った感じになります。
そして、
限られた時間内で行われる船舶を用いたフィールドワークの大変さ。
そしてこれがとても手間がかかる事。
等の研究生活の大変さの紹介と共に、ウナギの産卵場所を特定しようとする研究者が立てた、
ウナギは太平洋沖の海山周辺で産卵すると言う「海山仮説」
うなぎは新月近くに産卵すると言う「新月仮説」
ウナギは塩分濃度が違う海水同士の境界線周辺で産卵すると言う「フロント仮説」
などの学術的な内容がウナギ研究の歴史と共に解説されてあり、とても理解しやすい内容でした。
2012年の夏は不漁を原因とするウナギ価格の上昇がニュースになりましたが、本書を読む事により、これらのニュースに接してただ漠然と「ウナギは乱獲などによって減ってきているらしい」と思うだけではなく、ウナギがどの様な生態を持ち、そしてなぜ直近で激減したのか、ウナギ保護の為に最も効果がある方法は?と言った点に関してより具体的で正確な理解を得る事、間違いなしです。
ウナギ保護は正確な理解から。
生活、風習、歴史、文化などでウナギと深い関わりを持ってきた多くの人々におすすめな一冊です。
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世界で初めて天然ウナギの卵の採取に成功した研究者の記録。広い太平洋で僅か10km四方の産卵場所を特定するなど、すごい大発見である。
天然ウナギの生態を調べる事で養殖の効率を上げる事が可能らしい。という事は、調査に対する執念=美味しく安い鰻をたくさん食べたい、という事なのだろうか?確かに第一次海洋調査の懇親会は鰻屋だったと書いてあるw
資源が枯渇する前に早く養殖技術を確立してほしいものだ。
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うなぎがどこで産卵するのか、生態系が解明されていなく、漁獲量が激減している昨今、その謎、ウナギはどこで産卵するのか、に迫る。
このテーマは、近所で冬になると漁師の方がシラスウナギを捕っていて、高値で売れていたりするらしく、好きなテーマで、これまでにも、
『アフリカにょろり旅』世界中のウナギを捕獲するため、アフリカに行くお話。
『うなぎ丸の航海』ウナギの卵を求めて、白鳳丸で探索に出る話。
など、読んでいるが、この本は、これらの2冊の成果を踏まえた集大成。
今までの2書と違い、科学的であるが、十分に理解できる。
なぜ、今、日本でシラスウナギが捕れなくなっているかなども考えられる。
研究が進む過程もわかり、面白かった。
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ウナギの産卵場を求めて、大海原を右往左往するハナシ。
ウナギは大好きだ。特別な食べ物でもある。こんなに馴染み深い生き物なのに、こんなに謎が多いところにも惹かれる。
それにしても、ウナギの産卵場所は、10キロ四方の範囲であったという。。。さらに、産卵後、一日半ですぐに孵化してしまう。よくもまあ、卵を見つけたものだ!
ウナギは、ここのところ激減している。日本だけではなく、ヨーロッパウナギもそうだという。
それなのに、スーパーやコンビニ、安飯屋に至るまで、貴重な資源を食い荒らし、余計な商売をしている。ウナギ屋を、本物の鰻屋だけの免許制にすべし!3000円以下では売るべからず!と、声を大にして言いたい。
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ウナギの卵発見譚。
ウナギの生態には謎が多く、「ウナギは何を目印に産卵場所に集まるのか?」「親ウナギの回遊ルートはどこか?」「なぜウナギは大回遊するのか?」といった当然の疑問は未だ解決の目を見ておらず、2009年にようやく天然の卵が発見された。アリストテレスが「ウナギは泥から生まれる」と言ってから2000年以上を経ての快挙だ。何故こんなにも長い間ウナギの天然卵は発見されなかったのか。本書には発見に至る確かな足跡がある。
『発見譚』以外の要素は薄めではあるが、これなくしてウナギは語れない、抑えておくべき一冊。
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人類はどんなに陸の上で威張っていても、海の中のことは何にも知らない。
ウナギという身近な魚さえどこで、どのように産卵するかすら分からない。その謎に挑んだ研究者。海流や塩分濃度を考慮に入れても、結局は卵や稚魚が網に入るかどうかの運だのみ。誠に海は広い。
一人の研究者の研究史としても面白かった。
資源が減り続けるウナギ。安く完全養殖が実現するといいな。
Posted by ブクログ
ウナギという題材が面白いだけに、期待していたほどではなかったという読後感。
研究を時系列に沿って解説しているので分かりやすくはあるが、躍動感がない。気がします。研究者が書いた本って感じ。