あらすじ
【M&Aが学べる!実話に基づく経済小説】
第二の人生をスタートさせるため、会社を売却する。
それが全ての始まりだった…!
会社を乗っ取る魔物たち、札束飛び交う知能戦。最後にカネを掴むのは誰だ——。
ビジネス界から絶賛の声、続々!
手に汗握る!
シリアスでエキサイティングなM&Aのリアルがここにある。
Boost Capital代表取締役
LINEヤフー元最高経営責任者
小澤隆生
M&Aにこのような罠があるとは驚きだ。
とにかく面白い。経営者にとって必読の書である。
ベンチャーバンクグループ 代表取締役
鷲見 貴彦
全国民、熱狂間違いなし!
これを超えるケーススタディはあり得ないだろう。
国立シンガポール大学兼任教授
田村耕太郎
「主人公、恵島に訪れた悲劇は、これからM&Aを目指す経営者にも訪れる可能性が充分に存在する。この物語を通して疑似体験をすることで、スタートアップの経営者が少しでもM&Aに関するリテラシーを高め、2025年以降の日本のM&Aに夢を持てる環境を作りたいと思う。」
(本書「はじめに」より)
第1章 会社のエグジットは M&Aか廃業だ!
第2章 M&Aは経営者のキャリア形成。我儘に生きろ!
第3章 4つのゴールを実現する 2段階エグジット
第4章 プロ経営者との合流
第5章 乱気流のプロペラ機着陸
第6章 退任前夜
第7章 失望。取り返しのつかないLPS契約
第8章 老獪。乗っ取りの初手
第9章 襲い掛かる三重苦
第10章 キャスティングボード
第11章 ファンドへの完全敗北
第12章 違法性のあるエビデンスを集めろ!
第13章 10対1の勝負
第14章 天王山1か月で10億の資金調達
第15章 ホワイトナイト
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Posted by ブクログ
M&Aを題材にしながら、専門知識がなくても楽しめるエンターテイメント経済小説として仕上がっている。
著者自身の実体験に基づいているためかベンチャー界隈でIPOやEXITに関わった経験のある読者なら、細かな金融テクニックの理解は別として、十分に共感できる内容だろう。
M&Aの世界は、決して綺麗事ではない。
悪質な仲介会社の存在(不動産業界と同様の「片手・両手」問題)そして買収後に「ものになった企業」が実は少ないという厳しい現実もあるのだ。(ここ最近は知らんけど)
実際に経営の問題にもつながり、その点は
わたしも以前から考えていた。
さらに企業の土地目的だけで買収し、従業員を即座に解雇するような事例も珍しくない。買収する側のモラルの問題は、事業の失敗以上に深刻な影響を社会に与えているといえよう。
基本的にIPOとM&Aという二つの出口戦略があるもののIPOは東証の株価に引きずられ、初回(初値)は良くても次セカンダリーが厳しい。
もちろんビジネスマンであれば日経平均のようないびつな指標をベースに実体経済は語らないとは思うが、(わからない人のために解説しておくと日経平均株価の寄与度ベースでいえば2023年の数字だが上位5社だけで寄与度は約46%を占め上位10社にすると寄与度は約56%と、なんと日経平均株価の動きの半分程度はわずか5~10社の株価で決まってしまっているのだ)とはいえIPOが株式市場に左右されるのは自明だろう
IPO後に初値を超えられないベンチャー企業というのは、四半期決算の弊害が指摘されるが、海外も同じルールである以上、これは言い訳にすぎない。「雨の甲子園」で負けたチームが天候のせいにするようなものだ。相手チームも同じ条件で戦っているわけで。
本質的な問題は、そもそもIPOに適さないビジネスモデルの企業が上場してしまい、「上場ゴール」で終わってしまうことにある。
そういう意味だとこの本に登場する企業は成長が著しく、実はIPOでも成功できたかもしれない——これは「たられば」だが。
さて、ベンチャーを立ち上げ、猛烈に働いてきた経営者が、家族との時間のためにEXITを望む。これは極めて素朴で理解できる動機だ。しかし、そこに税金対策への「ちょっとした欲」が絡むと、状況は一変する。合法的な範囲内であっても、その欲が判断を狂わせる。さらに悪質なケースでは、買収直ぐ側の背後に暴力で問題を解決しようとする勢力が絡んでいることもあり、事態は複雑化する。そういう意味ではここで書かれているような悪はそこまでの悪ではないとも言える。
M&A市場の最大の問題は、買い手と売り手の間に存在する情報の非対称性だ。知見が蓄積されにくい構造ゆえに、無知な者は餌食になりやすい。「騙す方が悪い」という正論はあるが、現実には騙そうとする者が多いのが事実。
経営者は有能な人材に任せることも重要だが、自分が関わる分野でのリテラシーを高めることが何より大切となる。スタートアップの成長型M&Aをさらに活性化させるには、この情報格差の壁を乗り越える必要があるのだろう。
深刻な状況を描きながらも、主人公がプールやお酒を楽しむ余裕を持っている点だ。キャラクターの描写はやや薄く表面的だが、この「追い詰められすぎていない感じ」が逆にリアリティを生んでいるのかもしれない。同時に、これは現代という時代の「軽さ」を象徴しているようにも感じられる。
著者自身の体験に基づく心理描写は生々しく、エンターテインメントとして十分に楽しめる作品になっている。
話がこの本から離れるが、ドットコムブーム時代の若手ベンチャー起業家たちも、今やすっかり「おじちゃん」だ。20年経っても知性の積み上げが感じられず感覚だけで語る姿は、彼らがかつて批判した「老害」そのものではないのかなと思う事もある。
それでも若い世代が彼らを信奉する様子を見ると、複雑な思いが湧く。
まあ起業しIPOはさせたけど「虚言癖」があるのか、その後怪しげなビジネスにいく輩もいるんだが、それでも過去の一部の栄光だけで信者がつくというのもどうなんだろうとは思う。
昔取った杵柄か。
20代で鋭い社会批評を書いた社会学者が、40代になって論文も書かず、テレビに出続けている——もはや学者という役割を持った芸人という気もするが。年齢や若さの問題ではないが、社会全体が「軽く」なっているような気がしてならない。
という時代に合った経済小説かもしれない。
企業買収に伴う経済小説は昔からあるのだ。