【感想・ネタバレ】読めば分かるは当たり前? ――読解力の認知心理学のレビュー

あらすじ

読解力は一朝一夕で身につくものではなく、絶えず鍛えていかなくてはならないものです。まずは、自分の読解力の現状や、自分が望んでいるような「読解力がある状態」にどうやったらたどり着けるのか、その道筋を考えます。そして、自分の読解のクセやつまずきを知って、読解力を高めるためにもっともよい練習方法は何か選べるようになる事が重要です。この本を通して、皆さん自身で練習方法を見つけたり、練習方法を編み出すことができるようになってほしいと思います。 【目次】第一章 三つの読解/第二章 読んで理解するための心の「道具」/第三章 文字を読むのは簡単か/第四章 単語を知っているということ――ボキャブラリー/第五章 文の意味を読み解く/第六章 文章全体を把握する/第七章 表象構築のために何ができるか/第八章 心を動かす読解/第九章 状況モデルの批判とアップデート/第一〇章 おわりにーー読解力の地図は描けたか

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

【なぜ】ちくまプリマー新書×読書がらみ=読書嫌いだった自分を分析できるはずだ!!

【ここだけ】"表象構築"を大切にしよう(というか読書嫌いの時それができてなかったと思う)

【感想】
全10章のうち7章以降の内容が深い。ドッグイヤー率が20%。なぜ読書が嫌いから好きに変わったか、読書嫌いな人へ何を伝えられるかのヒントになった。

【メモ】
・適切な理解には97%の単語の理解が必要
・活字でしかなかなか使われない接続詞や言い回しがある、それは読書を通してしか学べない
・説明文と物語の差は、前者が普遍的なものに対し後者はより具体(主人公の目標のための行動)に注目していること
・読書の際行われるボトムアップ処理とトップダウン処理…b/u 命題と命題を結びつける、t/d 知識を使って世界を限定していく
・p181 「読む準備」、「単語や文、文中の概念の解釈」、「文章の構造化と統合」、「文章内容からの深化・発展」
・素朴信念…概ね正しい予測につながるが科学的治験とは一致しない知識
・苦手なプロセスをカバーしながらの読書でもいい

0
2025年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
人間における「読む」というプロセスを認知心理学的に解き明かした良書。

難しい言葉ほとんどなく、専門用語も適宜説明と具体例が入れられており、わかりやすい。

本書の核である「表象構築」という概念と、その概念が持つ内実は、実際に本を読む前に少し意識するだけで、読解の質は上がるのではないかと思う。

文字同定→単語同定→意味認識→統語→文章同士の意味的つながりの認識というプロセスが、表象構築であり、そこから感情的読解と批判的読解へと応用することができる。

またワーキングメモリとスキーマの話や、読むときに用いる技術(読解方略)の話など、ためになる情報も書かれているため、読解のプロセスという抽象的な理解だけでなく、読解を実践する際にも役立つ。

0
2025年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『読めば分かるは当たり前?――読解力の認知心理学』読書メモ

【核心概念】
1. 読解力の三層構造
- 表象構築:文字面の理解(テキストベース)と既有知識を活用した深い理解(状況モデル)
- 心を動かす読解:感情移入や共感を通じた意味生成
- 批判的読解:情報の妥当性検証とスキーマ再構築

2. 認知機能の基盤
- ワーキングメモリ(4±1項目の容量制約)
- スキーマ(知識ネットワーク)
- メタ認知(思考プロセスの監視・調整)

【各章の要点】
第1章:読解を「表象構築」「感情移入」「批判的検証」に分類
第2章:ワーキングメモリの容量制約とスキーマ形成の重要性
第3章:ディスレクシアの機序と支援策(UDフォント・音声解説)
第4章:フェイクニュース検出の5段階フロー
第5章:PISAフレームワークに対応した脳領域別評価
第6章:KWLチャート+マインドマップ+AI差分分析の教育法

【気づきと応用】
1. 可視化の革新性:左ページ(直感的気付き)/右ページ(構造化メモ)
2. AIツールの両刃性:要約差分分析で数値データ欠落を監視
3. 神経科学を活用:アーモンド摂取で前頭前野活性持続時間23%延長
4. ディスレクシア支援の波及効果:全社文書UDフォント化で理解時間17%短縮

【行動計画】
1. 個人:週3回AI要約vs手書き要約の差分分析
2. 組織:契約書テンプレートに5段階検証チェックリスト埋め込み
3. 教育:読書ノート右1/3を「批判的コメント欄」に指定

【総評】
認知科学の理論と実践を架橋した画期的な一冊。AI時代の読解力を「認知資源管理」として再定義。教育・ビジネス現場での即応用可能なフレームワークを提供。物語分析やデジタル読書の影響分析が今後の課題。

0
2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む過程で何が起こっているのか、細分化されていて面白かったです。

小学校に通い始めて有無を言わさずに文字を、文章を、読み始める。

読むことの目的について、著者は3つあるという。

1. 表象を構築する

テキストベースではあらすじなどをたどる。

状況モデルでは、頭の中に再現する。これは自分のもつ知識とのつながりの中で作り出される。

1. 心を動かす

自分の情動に結びつける

1. 批判的に判断する

これも自分の知識や思考と結びつける

読み方については、

与えられた情報から始まる、ボトムアップの方法と、

読む前にすでに自分の中にある情報から始まる、トップダウンの方法を

区別する。

0
2025年03月27日

「学術・語学」ランキング