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Posted by ブクログ
選挙結果に釈然としないものを感じて、閉塞感を打破できない、役に立たないインテリリベラルの教書だと揶揄される「ニーチェ」や「ハイデガー」をきちんと知るべきだ、と思い立って(?)本屋をうろうろしてたらこの本に出会ったので即買い、即読み。
適菜収は、キリスト教、民主主義、近代イデオロギーが生み出した、B層大衆と、歪んだ平等主義をニーチェの思想をベースにして激しく批判する。というか、筆者はずっと怒ってる。「女性は政治家に向いていない」とか、「日本の官僚制は優れている」とか、マスメディアで発言したら、間違いなく(それこそB層に)叩かれる発言をボンボン言うので、大丈夫か?と思うところもあるが、やっぱり、ニーチェがツァラトゥストラで語らせた「愚者には何を語ってもムダである」という諦念をやるせない怒りとともに述べているようにも感じられる。
「私は選挙にいかない、なぜならば、選挙なんかで世の中を変えることは危険だから」。選挙はデモクラシー教の儀式に過ぎず、それこそが善であると言うのは、悪の根源である「キリスト教的一神教」の思想そのものであると断罪する。
選挙直後にこれを読むと、ヘナヘナと脱力してしまうわけだが、自分も医師で、専門職と呼ばれる仕事をしているので、「もうちょっと専門家の言うこと聞いてよ」と、特にクレーマーに対して思うこともあり、そういう意味で、政治家も、エリート中のエリートである官僚に対して、ある種の畏敬の念を持って接するべきだと思うところもあったりで、平等主義ではなく、区別主義の考え方も必要だとする筆者の主張に共感できるところも多くあった。
大衆って、ある意味、ずーっと世間を監視し、モノを考え続けることがしんどいから「逃げ場」みたいに存在するイメージも僕は持っていて、ただいったんそこに染まると、もはや抜け出せなくなる沼みたいなものかもしれないな。仕事が忙しすぎると、どうしたらいいんだろうなあ?自分でモノを考える余裕がないと・・・ しんどい世の中だなあ。