【感想・ネタバレ】君のために泣こうのレビュー

あらすじ

「本気で嫌なら抵抗してみろよ」父親がなくなり、ひとりぼっちになってしまった静一の元に、ずっと離れて暮らしていた弟の亮介が帰ってきた。すっかり大人の男に成長している亮介はまるで知らない人間のようで、静一は落ち着かない。そんなある日、酔った静一は男とホテルに入るところを亮介に見咎められ、越えてはいけない一線を越えてしまう。こんなの許されない、例え血が繋がっていなくても…煩悶する静一に情熱を隠さない亮介だったのだが…!?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

英田さんの初期作品で、英田さんにしてはめずらしく恋愛オンリーなお話です。
英田さんといえば、刑事とかヤクザとか、ヤクザとか、FBIとか…(以下略)
血のつながらない兄弟モノです。兄弟モノって、なんかそれだけで背徳の香りがして淫靡な感じ。
あくまでも個人的な統計ですが、既読の兄弟モノは圧倒的に“弟攻め”が多い。
秀逸な“兄攻め”の作品があったら読みたいな~♪
初期作品といえど、安定感のある筆致でしっとりと読ませます。
亮介が子供の頃から兄の静一だけを慕ってきた静かな執着が結構心地よい。
誰にも頼らず生きたきた兄を今度は自分が守りたいという気持ちもいじましいです。
亮介のバイトするバーで兄に言い寄る男に『Between the sheets』→『Blue moon』と牽制するあたりも独占欲むき出しでいい。
気持ちを通わせ合いながらも兄であろうとする静一は姑息な手で亮介を切り捨てる。
まだまだ青臭い亮介はすっかりそれを鵜呑みにして出て行ってしまう。
失って初めて、亮介の存在の重さを知る静一。子供の頃から亮介がどんな気持ちで生きてきたのかも。
心を決めた静一が追いすがっても追いすがっても、なかなか許そうとしない亮介。
すれ違う気持ちが、ちょっと切なかったな。
最終的には愛を確かめ合って、甘やかな時間を過ごすエンディングにはキュン。
『あんたの涙は俺が拭ってやる。これから先もずっと…』なんて頼りになる弟ってステキ。
北畠さんの雰囲気のあるイラストもきれいだった。

0
2012年11月17日

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