あらすじ
2003年の大晦日、TBS、日本テレビ、フジテレビがいずれもゴールデンタイムに格闘技興行を放映した。なかでも、TBSが放送した「K-1Dynamite!」のメインイベントとして行われた「曙太郎vs.ボブ・サップ」の試合は、元横綱の総合格闘技デビュー戦でもあり注目を集めた。そして、曙が豪快にマットに沈んだシーンでは、裏番組のNHK紅白歌合戦を視聴率で上回る快挙となった。
だが、派手な興行戦争の裏側では、選手の引き抜き、ギャラ交渉、放映権問題などを巡り、テレビ局、格闘技団体、選手、さらには興行に関わる裏社会の人間たちによる虚々実々の駆け引きが行われていた。決して表に出なかった内幕を徹底した取材で浮き彫りにする。
【本書の内容】
序章 フジテレビショック
第1章 史上最大の格闘技ワールドカップ
第2章 石井和義逮捕
第3章 ミルコ・クロコップという奇跡
第4章 あの夏のタイソン
第5章 今年は日本テレビが中継
第6章 曙太郎対ボブ・サップ
第7章 猪木、雲隠れ
第8章 ヒョードル来日
第9章 大晦日狂騒曲
第10章 格闘技が紅白に勝った日
終章 勝者なき戦争
【著者略歴】細田昌志(ほそだ・まさし)
1971年岡山市生まれ、鳥取市育ち。鳥取城北高校卒業後、中華料理店勤務、代行業、代筆業、結婚式の司会、リングアナウンサーなど職を転々としたのち、CS放送「サムライTV」の格闘技情報番組のキャスターに就任。その後、放送作家をへて作家に。3作目のノンフィクション『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝』(新潮社)で第43回講談社 本田靖春ノンフィクション賞を受賞、近著『力道山未亡人』(小学館)で第30回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
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Posted by ブクログ
読みながらそういえばそうだったとか、へーそんなことがあったのかとか、もう20年も経ってるのが嘘みたいだが当時の記憶が蘇る。そしてYouTubeで当時の試合を検索してみるとほとんど見ることができていい時代だ。それにしてもあらためてWikipediaで曙の戦績を見るとなんともいえず可哀想になるが、その後はプロレスでそれなりに活躍できてよかった。
Posted by ブクログ
2003年大晦日、まだ2歳半だった自分にとって、
「曙vsボブ・サップ」も「紅白歌合戦の『世界に一つだけの花』」も記憶にはなく、どちらも懐かしい映像として、テレビから流れてくる、過去のもの。
どちらかというと紅白でトリを務めるSMAPの映像の方がよく見た気はしていて、そういう意味でも勝者はやはり紅白なのかもしれない。
裏番組への意識とか(美川憲一すごい…)、興行そのものの混沌ぐあいとか、まだ昭和っぽい空気がいくらか残っていた時代なのかなと思う。
Posted by ブクログ
日テレ・TBS・フジがそれぞれ異なる格闘技イベントを放送し、ボブ・サップvs.曙の視聴率が紅白歌合戦を上回った2003年大晦日の狂騒。その前後を含めて当時の日本格闘技界(と民放テレビ局)の歴史を追った一冊。自分は中3〜高1でまさにテレビで観戦していたので懐かしすぎる。確かにタイソン戦の機運あったなぁ。今思えば何だったんだろうあれ?という感じになっちゃったけどwミルコがK-1からPRIDEを侵略して、今度はPRIDE代表としてUFCに参戦したのも鮮明に覚えてる。でも意外に記憶が薄れているのもあって、猪木祭にLYOTO vs.リッチ・フランクリンやジョシュ・バーネットvs.セーム・シュルトなんて好カードがあったのは完全に忘れてた。惜しむらくはせっかく取材できた川又誠矢氏の証言が本人の意向でごっそりカットされていること。仕方ないのだけど最重要キーマンだけに本人の今の言葉を聞いてみたかった。ちなみに現RIZINトップの榊原信行が沈黙を貫く一方で既に業界から身を引いた谷川貞治が喋りまくってるのはご愛嬌かwもう一つ、新日本プロレスの永田裕志が自身のYouTubeで喋っているヒョードル戦の裏話が載っていないのも惜しい。まぁ笑っちゃうぐらい酷いドタバタ劇だから本書のテイストには合わないかもしれないけどw