【感想・ネタバレ】姉が壊れた。のレビュー

あらすじ

不意に訪ねた姉のアパートは、部屋の窓に目張りがされリビングの真ん中には七輪が置かれていた。
姉はしどろもどろで言い繕うが、それは明らかに練炭自殺の準備であり、敦はそれを意図せず未然に防いだのだ。
よく見ると自慢の美貌はくすみ自信に満ち溢れた生気は消え失せ、敦の知らない姉がそこにいた。姉は会社の上司からパワハラを受け、追い詰められていたのだった。
――「第三回ステキブンゲイ大賞」審査員特別賞受賞作である表題作に加え、まるで仕方なく生きているかのように淡々と日常を過ごしていた男の前に、突然かつての想い人の娘が現れたことで起きた顛末を描いた書き下ろし作「どんどんキミに似ていく」を収録したデビュー作品集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。
姉のたむに行動する本谷は、優しいなーって思った。けど、それは結果的に優しいと言うことであって、実際には、姉への復讐心や、面白さ、延命願望など、色々な感情の中で行動した結果、総じて「優しい人」という評価になる。

その意味では、著者は、「実際」を描くのが上手いなーって思った。物事の結果に至るまでは、実際にはこんな感じで進んでるんじゃない?って言うのを小説で描いてた。そこを丁寧に描いてたことが、この小説の面白さだと思う。

その一方で、相羽との関係を描いたのはどういう意図があったのだろう。トランスジェンダーの女性との関係により、何を描きたかったのだろう。

でも、たぶん、著者は「優しい人」なのだと思う。ただその優しさをうまく出せない不器用な人なのかもとも思う。知らんけど。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

話のテンポが良くてあっという間に読み終えてしまった。表題作である『姉が壊れた。』と『どんどんキミに似てくる』の2作が収録されている。

『姉が壊れた。』は、バリバリ働いているはずの姉の家に貸していたSwitchを取り返そうと姉の家にやってきた主人公である本谷敦。姉の家のインターホンを押した時、姉はまさに今練炭を焚いて自殺しようとしていた。という物語の始まり。これからどうなっちゃうの?と一気に物語に引き込まれた。姉は職場でパワハラ被害に遭い、元の性格とは全く違う姉になってしまっていた。敦は大学の教授と協力して会社に対して訴訟を起こそうとする。結構重めな話なのに、敦の口調が軽いのでスラスラ読めてしまった。

『どんどんキミに似ていく』
学生時代の憧れの女子生徒であった雪川陽子。ある日彼女の子供だという少女が主人公の家までやってくる。憧れだった雪川陽子に似た少女をミニと呼び、2人で過ごすようになる。
こんなことあるだろうかと思いながらも、歪んでいるような純愛なような不思議な感覚だった。

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2025年02月27日

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