【感想・ネタバレ】旅と食卓のレビュー

あらすじ

2022年秋、著者は、パリ・南仏の街々を40日間レンタカーで旅をした。
パリの朝食のスクランブルエッグ、衝撃が走る至高のトリュフのスープ、 ゴルドの成熟した旨さの仔羊のロースト、エクス・アン・プロヴァンスの滋味深いムール貝のワイン蒸し、カシの濃厚なうま味のスープ・ド・ポワソン......
数多の美食に酔いつつ、ゴッホ、セザンヌ、ルノワール、マティスなどにちなむ街を訪れ、パリでは『ミッドナイト・イン・パリ』の撮影で使ったホテルの部屋に宿泊する――
五感で旅を味わい尽くし、記憶を呼び起こし、生と死を思索する名随筆。

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Posted by ブクログ

なんだか貧乏くさい今の日本。すてきなエッセイを読むことで、気持ちだけでも優雅な旅の空に遊びたい。
パリと南仏をまわる四十日間の旅。
名所旧跡は避けて、画家たちのゆかりの場所を巡る。
ゴッホのサン・レミ・ド・プロヴァンス、セザンヌのエクス・アン・プロヴァンス、ルノワールのカーニュ・シュル・メール、マティスが作った教会があるヴァンス。おや?どれも、画家たちが晩年を過ごした土地だ。

若い頃は行く先も決めず期限もない放浪の旅をしていたという著者は、予定を立てて予約をしなくてはいけないことに多少の窮屈を感じる。
一流ホテルに泊まり、行き届いたディナーを食べる大人の旅はサービスが心地良過ぎて、ふと、これは「旅」と言えないのではないかと思う。
旅はもっと、孤独で、安心できないものでなくてはいけない、と美食を堪能しながらもその合間に、若き日の貧乏旅を回想する。
野宿や、行きずりのヒッチハイカーとの同行、ノミだらけの汚いベッド、車の事故も起こした。

料理の味の描写は極めてエロティック。後半にかかるにつれ、やや調子に乗りすぎ(笑)
言葉がとても豊かで、風景も、ホテルのインテリアもオーナーの人柄も、南仏の魚介類の豊かな味の広がりも、余す所なく想像させてくれる。

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2025年03月22日

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