あらすじ
500冊近い本を編集し、『ちくま文学の森』『中学生までに読んでおきたい日本文学』などの多くのアンソロジーを手掛けた著者が愛した「編集」という仕事が何であるかを綴ったエッセイ集。
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Posted by ブクログ
「王様のブランチ」の本の紹介コーナーで有名な著者の、編集者としての仕事を振り返った半生記といった内容。
なんとなく、呼ばれることがあるんだな。
先日、『文にあたる』(牟田都子著)に興味を持ったときと同じような気持ちで、書店の書棚にならぶ本書を手に取ってみたが、すぐには求めなかった。表紙の温かみのあるイラストが印象に残っていて、何か読む本を、と、もう一度、その書店に立ち寄ったときは、本書を探していた。
編集の仕事の一環でもある、本の装丁をいかにするか? だが、まさに、その装丁の勝利とも言える一冊。ちなみにイラストは南伸坊氏、著者も信奉するデザイナーだ。
書下ろしではなく、1980年代から、著者がかかわった「全集」の裏話を中心に、仕事でかかわった人間関係を楽しく語ってきかせてくれるもの。
書物、本、が好きな人なら、いろんなトピックスで、笑えたり、感心したり、モノづくりの楽しさを味わえることだろう。
で、なにが呼ばれたか? というと、著者もうちの地元に所縁のある人だったのだ。でもそれは小学生の頃だけど(牟田都子氏は現在地元在住だ)、うちの前の住所の最寄りの小学校が学び舎だったとは!?
しかも、そこで図工を教えていたのが安野光雅だったという。安野氏とのその後の仕事っぷりも楽しいが、要は、小学校のときの先生を巻き込んで仕事してたのかと思うと、ものすごい縁だな、と思う。
安野光雅らと編んだ『ちくま文学の森』、鶴見俊輔をさらに加えて『ちくま哲学の森』など、機会があれば手に取ってみようと思う。
作る側の思いも分かった上で読んでみると、また違った見え方があるのだろうと思う。