あらすじ
■内容紹介
メディアや研究機関が流す情報は本当に真実なのだろうか? 数年前に話題となった「喫煙と肺がん」の因果論争。日本禁煙学会は喫煙と肺がんの相関関係から、両者の因果関係は間違いないと主張している。しかし、この判断は不完全であり、タバコが肺がんの指標であることは間違いないと思われるが、タバコが肺がんの原因であるとは断言できない。相関関係と因果関係は似たような言葉と思われがちだが、相関関係から因果関係を導くには非常に難しい問題が含まれている。本書では、相関関係から因果関係を導くための方法論として「相関の観測方法と可能な判断」という判別表を考案。「喫煙と肺がん」を中心に、メディアでよく取り上げられる血液型性格判断や食品と健康の関係など、いわゆる「ニセ科学」と呼ばれる事例についても検証。「相関と因果」にまつわる様々な勘違い、誤謬を明らかにしていく。
■著者紹介
市毛 嘉彦(いちげ よしひこ)
1952年神奈川県横浜市生まれ。東京都多摩市在住。1979年電気通信大学大学院修了後、日野自動車株式会社に入社。開発部門(実験部)、労働組合専従を経て現在は人事部主査。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
因果関係について詳細に述べており、相関関係と因果関係の違いや巷に溢れる誤った因果関係帰結を断じていて非常に勉強になった。
実験手法の分類と各実験により結論づけが可能な範囲(相関関係まで立証可能、因果関係まで立証可能など)についても整然と書かれていて分かりやすい。
文中に書かれている誤った因果関係の例については少し首をかしげる箇所もあるが全体としては面白く勉強になる一冊。
Posted by ブクログ
さまざまな事例を用いて、相関関係を因果関係と誤解してはいけないことを説いている。豊富な事例に支えられて、交絡因子、プロセス因子などの関連用語も丁寧に説明してくれているので、これを一通り読むと因果関係を主張する話しの嘘がはっきりと分かってくる。最後はニセ科学の見破り方にまで触れていてくれている。事例的には以下のものが気になった。
禁煙学会のウイークポイント
アスベストと肺がん
生姜と冷え性
喫煙は肺がんの指標
コーヒーと肝臓がん
Posted by ブクログ
「統計的に」という枕詞で語られることの多くが、因果関係をちゃんと証明できてないよ、因果関係が確定するにはこういう要件が必要ですよ、という本。「統計的に」とか言いながらいい加減なデータで解説してくるテレビとかに対してやたら腹を立てる性格だったので、タイトルはビンゴだった。内容はもっと軽い本かと思ったらわりとちゃんとした専門書っぽいアプローチしてる本で、勉強になりました。非実験追跡、とか、普通に暮らしてたら絶対知らないままだったね。ですが、非常に不満がある。日本語がすごくわかりづらいのだ。例えば、AであればBになる、というときの「になる」の使い方がちゃんと定義がないからいちいちひっかかる。だいたいが「になる可能性が高い」だと思うし。なんか、そういう読んでいてパッと言っている意味がわからないことが何度かあり、意味がわかっても「いや、その日本語ちょっと不充分じゃないか?」とか思っていちいちすごいストレス。俺が気にしすぎなのか?別に難しいこと言ってるわけじゃないので、書きぶりだけの問題だけど。このタイトルで普通の人に読ませるならもう少しわかりやすい日本語にできなかったのかなーと思います。惜しい。