あらすじ
ぼーっとしている時、眠っている時に、脳がしている「スゴい働き」とは?
この秘密を知れば、「ひらめき」が次々に湧いてくる!
「悩んでいたけど、寝て起きたら解決策が見つかった」「リラックスしていると新しいアイデアが浮かぶ」といった経験は誰しもあるだろう。実は、睡眠中やぼーっとしている時の脳は、記憶を整理して問題に対する正解を導き出すという、起きているとき以上に積極的で高度な情報処理をしている。これが「アイドリング脳」だ。ひらめきを得るためには、アイドリング脳をいかにうまく働かせるかが鍵。分子脳科学の最前線に立つ著者が、驚きの研究成果を分かりやすく解説するとともに、ひらめくための実践的方法も紹介する一冊
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Posted by ブクログ
アイドリング脳という新しい概念を知り、これまで何となく思っていたことを科学的に実証された思考と実験の軌跡を分かりやすく説明されており興奮が止まらない。ひらめきを生み出すことに必要で明日からの生活を豊かに変えるコツがたくさん詰まっている。最後に僕自身の仕事も紹介していただいており、素直に嬉しく思った。
Posted by ブクログ
ボーっとしている時間にも意味がある。寧ろ、知識を詰め込むような勉強をする時間よりも、頭を整理してアイデアを捻り出すには、ボーっとしている時間が必要だ。睡眠やジョギングなどでのデフォルトモードネットワーク、フロー状態。
夢の中で解決策がひらめいた人でいうと本書でも紹介される化学者のケクレ。夢の中でベンゼン環の構造をひらめいた。同じく夢の中で元素周期律表を発見したメンデレーエフ。日本では湯川秀樹が原子核の中で陽子と中性子を結びつけている「中間子」のアイデアがひらめいたというのは有名だ。
この本を読んで益々睡眠の大切さが分かる。一方で勉強時間のために睡眠を削るのは得策ではなく、そのために人間にはやはり時間が限られている事を再認識する。では記憶には限界があるのか。この点は読む本によって見解が異なる。
海馬は、記憶を短期的にとどめておく場所で、海馬でつくられた記憶(ニューロン集団)は大脳皮質へとコピーされる。大脳皮質にコピーされた記憶は、何十年経っても思い出すことができるが、2年以内の比較的新しい記憶は海馬を使って思い出すことになる。
著者の実験では、ニューロンの新生によって海馬の古い記憶が消去され、新しい記憶が刻まれていくという。経験や体験が変質しやがて忘れていくものなのだとしたら、我々は何を蓄積しているのだろうか。ひらめきだけではなく、記憶についても考えさせられる本だ。