【感想・ネタバレ】死者を動かすもののレビュー

あらすじ

アレックス・イーストンはヨーロッパの小国ガラシアの退役軍人だ。旧友マデリン・アッシャーから病気だという手紙をもらい、アッシャー家の館を訪ねてきた。不気味な沼のほとりに立つ館は陰気で憂鬱で、久しぶりに会ったマデリンの兄ロデリックはやせ衰え、目は落ちくぼみひどい有様だった。マデリンも見るからに病が重そうで、今にも息絶えそうなのにもかかわらず、夜には夢遊病者のように歩き回る。そして悲劇が……。ヒューゴー賞、ローカス賞、ミソピーイク賞などを受賞した著者がポオの「アッシャー家の崩壊」に捧げた傑作ゴシックホラー。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

※「メキシカン・ゴシック」のネタバレもあります

「パン焼き魔法のモーナ、」が可愛い表紙と語り口でかつ死体だらけのシビアな話で、重厚で好きだったのが、今回はホラーということで楽しみ→予想よりさらに面白く怖くて大好きな話だった。ものすごく好み。
登場人物に友情と理性と勇気があり、それでも崩壊していくアッシャー家の物語なので、すごく読みやすく快適で、
なにより、これからもっと怖いことが起きますよ、ほら、ほら...という不気味な雰囲気を楽しみたくてホラーを読んでいるところがあるので、その点がものすごく良かった。いつまでも読んでいたかった。

登場人物が戦争のトラウマを抱えた退役軍人・医師や、時代によって能力を認められない科学者で、「これをなんとかしなければ、できるはずだと思おう、出来なくても最大限やらなくては」を淡々と、たまに毒づきながらやっていく雰囲気で、それが頼もしいのに全く歯が立たない(なぜなら崩壊するのが確定しているアッシャー家だから、がわかりきっている)のもよかった。

起こる出来事はショッキングで、淡々とした描写でもちょっと手が止まるくらいのところがあり、上品なお屋敷ホラーでしかもしっかりおぞましく、その怖さは最後に問題に対処したにも関わらず怖いまま、というのが嬉しかった。

菌類が人体に影響を及ぼしているところは「メキシカン・ゴシック」と同じ、というのは1ページ目からそうで、かつ菌類の何が怖いかや雰囲気も全然違うので気にせず読めた。
(女性の話、愛すべき・守ってやるべき女性がいるけど置いて逃げ出しても良い立場で、それでもなんとかしようとする女性の話、お屋敷と一族の話、異質な生物によって変わってしまった人間の話 まで同じだけど、血が熱くドラマチックで泥だらけ血まみれで守るべき二人の男女を連れて脱出するメキシカン〜に対して、守るべき人が変容していて、でも誰にも言わずにいたその内心も真実で、ドライで淡々と不気味で物悲しい)

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2025年01月18日

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