あらすじ
孟子とカント、ルソー、ニーチェ。中国哲学と西洋哲学を往還しながら、人間の道徳の根拠を問う、現代フランス思想の旗手のよるスリリングな著作が、ついに文庫化! 東浩紀氏も絶賛する注目の書。
西洋哲学、東洋思想という枠を軽々と乗り越え、普遍に迫ろうとする知の力を堪能してください。
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Posted by ブクログ
ルソーの「憐れみ」を孟子の「仁」と比較するというように,ルソー・カント・ニーチェを中心とする西洋哲学の「道徳の基礎づけ」の構築・脱構築を,孟子を中心とする古代中国思想で補助線を引くことで新たな理解を試みる。文章自体は平易で,初学者でも挑みやすい内容となっている。
Posted by ブクログ
「道徳」というものについての考察。過去、この言葉がどのように捉えられ、政策者によって解釈され、人々に影響されてきたのかについて、東西の賢人の考え方を紹介される形で迫ろうとされています。洋の東西にかかわらず、人間に同質の性向があるということから、それをどのように捉えられてきたのかが、本書を読むことで少しずつ見えてくるようになります。利己的に生きることが当人にとっては一番のはずなのに、そうしないことは何故なのか。他者の苦しみに心動かされてしまうのは何故なのか。中国の孟子、西欧の哲学者達は、それをヒントにそれぞれ行動を起こし、それは奇しくも同じ時代に同じ動きをすることになります。
同じ時代に、東西それぞれにて行われた道徳についての考察を辿ることで、「道徳」を使うことで、人間に本質的に備わっている性向について知ることができると思います。