あらすじ
筆者は岡崎慎司、金崎夢生、加地亮など日本代表入りを果たした選手をはじめJリーグに30人以上入団する選手たちを育てたことでも知られる。しかし本書では、プロになれるためではなく、プロになっても長続きするようにコーチしていたと語る。そこから勝利至上主義ではなく、心の力を重視したのだとも。「黒田和生ほど、控え選手たちに愛された監督をわたしは知らない」という言葉をスポーツジャーナリスト金子達仁氏は、本書の帯に寄せている。
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Posted by ブクログ
昨年、岐阜国体でユース生が多く所属した兵庫県代表が優勝。今年、プレミアリーグWestとユースカップで優勝争いしているヴィッセル神戸ユース。
そのユースも元々はそんな強くなくて関西の育成といえばガンバ大阪、その次にセレッソ大阪。当時のことはほとんど知らないけど神戸ユースはおそらく空気だったんだろう(京都も)。
それが良くなり始めたのが黒田さんが来てからだという話を聞いたので読み始めた。
黒田監督の滝二時代の話は面白かったが、それ以上に安達貞至さん(現安達監督のお父さん)との対談が面白かった。
安達さんは元々ヤンマーの人だったのだが色々あった末に神戸に来た話、神戸のトップが育成中心にしたい要望を聞き入れてくれずクラブを辞めて横浜Fに行きそしてまた辞める話、三木谷会長から神戸に来てほしい誘われた話(とある人の結婚式で偶然会ったところから縁が始まったそうな)などなど…。
2010年にACL、2015年にCWCを目指していたらしいが、実際は2010年は奇跡的に残留して2012年に降格決定なのだからプロサッカーは厳しいねw
今、ユース生え抜きでは小川慶治朗が大活躍してくれてるけど、さらに岩波拓也や松村亮が成長してくれれば嬉しい。(前田や和田や廣田もだけどね)
今年のプレミアリーグWestではなんと優勝。3年生のGK吉丸の昇格も決まった。
この年の中心だった2年生の米澤、加古、山口、中井らがもしかしたら昇格するかもしれない。育成の楽しみは尽きないね。
Posted by ブクログ
トモニイコウ
We walk together forever
黒田和生
怯まず、驕らず、溌剌と
このモットーで23年間高校サッカーを指導。
真に強い将来性のある選手とは、技術に頼るのではなく、「心の力」が伴っている。
そのような選手たちが、日本のサッカーの未来を切り拓く。
第1章 Good Gameの追求ー人を育てるということ
・しつけの基本はやはり「あいさつ」である
・最後まであきらめないひたむきさである
・キーワードは「楽しむこと」
・選手に自立的自由をあたえる
・勝ち負けより大切なものがある。グッドゲームの追求だ。美しく勝つ。
・人生の勝負は20歳を過ぎてからでいい。
・教育は何のために必要なのか。「よりよい人生をいきるために」。人間は社会の一員として、何かしら自分の役割を背負い、それを果たすことによって感じる生き甲斐を得て生きていくのである。だから、多くの他人とよりよい人間関係を築くことのできる「徳」を重視した。
・指導者の責任、役割は重い。教育の原点に立ち返り、子供たちと真剣に向き合うこと、なにより、指導者自身がつねに学ぶ姿勢を持つことが大切だ。
第3章「個」を伸ばす
・自分を活かすポジションを見つける
・教えすぎて子供たちの「個の力」がスポイルされないよう留意する必要がある
・考える力で「個」の力は伸びるー「聴く力」が大事
・コーチの仕事は、選手の様子を見ながら言葉かけをすること
・助言は、ごく初歩的な段階の言葉かけだ。技術、フィジカル、メンタル面から選手のやる気をもっと引き出すようにする
・助言でその気にならないときは、警告をおこなう。きつい言い方になるのでタイミングを間違わないようにしなければならない
・説得は最後の手段だ。脅したり、すかしたり、ほめあげたり、あらゆる手を使って、選手のやる気に再点火しなければならない
・神戸賛歌
俺たちのこの街に おまえが生まれたあの日
どんなことがあっても忘れはしない
共に傷つき 共に立ち上がり
これからもずっと歩んでゆこう
美しき港町 俺たちは守りたい
命ある限り 神戸を愛したい
(原曲 「愛の賛歌」)
あとがき
・たったひと言で人は傷つき、たったひと言で心は癒される。心とは、もことに微妙なものである。
・人生、いくつになっても挑戦だ。私の挑戦はこれからも続く。
・人は誰しも希望を抱いて、あるいは誰かの希望を担って生きていくのだろう。
・サッカーは「一人ではできない」ということ。メンバーが力を合わせなければ勝利はつかめないし、助け合わなければグッドゲームにならない。それは社会での生き方に通じる。