【感想・ネタバレ】結局、他人の集まりなのでのレビュー

あらすじ

機能不全家族のもとで育った過去を持ち、インターネット上で
女性の生き方について発信しているライター・あたそ。
4年ぶりの新刊は、家族や友人、職場での人間関係の歪みと可笑しさを描いた、
令和を生きる女性の悩みと共感が詰まったエッセイ集。

暴力を振るうけれど、休日には不味い炒飯を振る舞ってくれる父親。
まったく話が通じないけれど、人のコントロールが上手くておしゃれな母親。
自分よりも両親の理想として生きる妹や、唯一嫌いではない無口な弟。
家族に対して恨みや悲しみはあるけれど、大人になった今、手放しで怒れない自分がいる。
「毒親」とまでは言えなくても、親を嫌いになったことが一度でもある人には共感必至。
家族のあり方を改めて問います。

社会人にも慣れてくると、家族以外の人間模様もさまざま。
結婚して子どもができて疎遠になった人、些細なことで喧嘩して連絡をとらなくなった人。
多忙で病んでしまったクリエイター仲間、退職を決意した顔見知りの同僚。
人生にいろいろな変化があるなかで、どうしたら楽しく自分を生きられるのか?
前向きに生きるための心の持ち方とは? 自分にも他者にも悩みながら、
それでも今を生きるあなたの背中を押すための一冊です。

目次
はじめに

【第1章】結局、他人の集まりなので
家族写真のないリビング
見知らぬ中年女性、幸子
「お母さんヒス構文」を笑わない
嫌いな妹は理想の娘
無口でマイペースな弟の結婚式
祖母の葬式、薄情な私
ピーター・パンとケチな母
父の不味い炒飯
「毒親」が嫌い …ほか

【第2章】実家を出て、ひとり暮らしをして、自分を愛すること
桃ちゃんと青のり
誰よりも生命力の強い母は、ひとりで生きていける
鳥ババアの愛情
忘れ物がなくならない
実家のルールを塗り替えろ! …ほか

【第3章】変わっていく交友関係もあるけれど、私はちゃんと私を生きている
生活に飽きないための準備を
誰かの胸に私の正しさが眠っている
ミニスカートおばさんの悪口
子どもがいても疎遠にならない
つまらない日常を一緒に抜け出すために
断れない女のにんじんしりしり
私に「死ね」と言った古田は、笑顔で赤子を抱いている …ほか

【第4章】周囲と比べてしまうけど、自分の選択も案外悪いものではないのかも
どうして子どもはかわいいの?
インターネットは傷つかない
異国の地で、知らない人について行く
「女の子なんだから」への反骨精神
産まない後悔、婦人科にて
陽キャという名のスーツを着て …ほか

おわりに

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Posted by ブクログ

機能不全家族…なるほど。うちの家族かと思った。友人関係、深くてメモメモ!!

p.38 式が終わってからは、相変わらず一度も連絡を取り合うことはない。祖母の親式で2日間一緒に過ごしたときの弟は、やはり言葉数は少なく、何を考えているのかよくわからない。食事をしながら話を聞くと、「子どもが欲しい」と言っている。あの弟が父親になるのか。同じ環境で育ったはずの弟が、どんどん私の先を歩いていく。自分の足で。お嫁さんと一緒に。私は、自分に似た子どもを愛せる自宿がない。両親のように最力を振るい、不用意な言葉で傷つけてしまいそうで怖い。「子どもが欲しい」「育ててみたい」だなんて思えない。でもきっと、弟は、過去にとらわれ続けることも自分の育った家庭環境を呪うこともなく、自分の力で幸せを見つけていけるのだろう。おしゃべりで沈黙な空間が苦手なふと無口でマイペースな弟はまったく違う人間で、言葉の数や睡眠の深さだけではなく、顔も性格も考え方も何もかも違う。家族なのに。でも、それでいい。弟は、姉である私を含めた自分の家族を置いてけぼりにして、新しい家族の形を自分の力で作っていく。

p.84
母を理解できるのは私だけだと思っていた。主に父から暴力を受けていた母と私で、
殴られ続けた人にしかわからない共通認識みたいなものは必ずある。何に対して怒り出すのかわからない怖さ、いつ手が出てくるのか予想できない恐ろしさ、実際に殴られたと諦めや徒労感は同じ体験をした人しか絶対にわからない。父から植え付けられた恐怖、男性と対時したときにうっすらと見え隠れする暴力という可能性、どんなに努力をしたって対等な立場になれない関係性は、弟と妹には理解できない。他の誰にだってわからない、母と私だけに存在する感覚なのだと思っている。だからこそ、私にとって母は「話す価値がない人」でありながら、この人は私がいないと生きていけないんじゃないかとも感じていた。
家事と子育てしかしてこなかった母は、ひとりでどうやって生きていくのだろう。私がそばにいなければ駄目なんじゃないだろうか。母を支えられるのは私だけなんじゃないか。
本当は、ちゃんと向き合って関係を修復すべきだったのかもしれない。傲慢だな、と今なら思う。他費思考で外面だけはよくて誰よりも生命力のある母がひとりで生きていけないわけがないのに。でも、あの頃は本気でそう思っていた。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

環境が人格を形成する部分もあれば、生まれもった本質もある、というイメージを受けた。あたそさんは自分の性格や考えのルーツを冷静に考えたり、世の中はこうだと思うけど、という部分でとても客観的に物事を見ていると思った。
自分の感覚とは合わなかったので共感はしなかったけど理解はした。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

家族のことは無関心に近いといいながら、家族に対する強い感情の現れを文章から感じ取った。文学フリマであたそさんに「お姉さん!よかったら見てって〜」と声をかけて貰って、本を購入させてもらったことがあるんだけど、今となって、あれは確かに人に好かれる才能だなと思う。(わたしはその一瞬であたそさんを好きになった)
同世代の悩みは基本的に似ているから、読んでいて、あーわたし以外にも同じように考えてこんなに悩んでいる人がいるんだーってなって安心する。強い味方というか、戦う仲間という感じがする。

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

家族構成や環境があまりにも自分と似ていたので気になってしまった。
理不尽と愛情不足に育った人は、どんな大人になるのだろうか。
当たり前だけど、大人になった彼女は私とは全く違う方向に成長していた。
きちんと仕事をし、少なくとも表面上だけは上手く人とやりとりをし、抜群の行動力で1人で海外にも行ってしまう。私とは違いすぎた。結局は、自分次第なんだよなあ。

ただ、身内への冷めた気持ちや、居場所のなさはあまりにも身に覚えがありすぎた。そして今後もそれはどうしようもなさそうなところにも救いがなかった。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

初めてあたそさんの本を読んだけれど、私は共感できる部分が多くて好きだった。家族のこと、こうやって考えている人もフツーにいるんだな、という安心。あと海外一人旅とかも同じ感覚でなかなかこういう人いないから嬉しかった。

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2025年02月28日

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