あらすじ
衝撃の三冠達成から30年――
今でも根強い「最強の三冠馬説」と謎に包まれた高松宮杯出走まで“シャドーロールの怪物”の真実に迫る!
伝説のジョッキーたちによっていま初めて明かされる栄光と挫折の舞台裏。
「やっぱりもう少し長く生きてほしかった。それが一番ですね」(南井克巳)
「(ルドルフと)一緒にやって(対戦して)みたかった、という思いが強かった馬だよね」(岡部幸雄)
「負けた側としても非常に嬉しいですよ。後世まで語り継がれるというのは」(田原成貴)
「見てて史上最強馬だと思っていました。好きな馬でしたね」(武豊)
「栄光のあとに降って湧いてきた不運や不幸は、ナリタブライアンのあずかり知らぬ力によって生まれた『闇』に翻弄されたものといえるかもしれない。
その闇のひとつが『人間』であるのは明白だ。
2024年はナリタブライアンの三冠達成30周年という節目の年。
個人的なことをいえば、私は同年に還暦を迎える。
その節目の年に、現場で最も取材した競走馬の一頭であるナリタブライアンの足跡を辿ってみたいと強く思うようになった。
その思いを伝えて実現したのが、この日の南井克巳さんへの長時間にわたるインタビュー取材だった」(著者より)
【著者プロフィール】
鈴木学(すずき・まなぶ)
サンケイスポーツ編集局専門委員。1964年6月生まれ。慶応義塾大学文学部卒。
1989年に産経新聞社入社。産経新聞の福島支局、運動部を経て1993年2月にサンケイスポーツの競馬担当に。
2年間のブランク(運動部デスク)後、週刊Gallop編集長、サンケイスポーツレース部長、競馬エイト担当部長などを歴任し現在に至る。
サイト「サンスポZBAT!競馬」にて同時進行予想コラム「居酒屋ブルース」、「週刊新潮」にて「ビギナーゆかりと師匠まなぶの競馬道」を連載中。
印象に残っている馬はオグリキャップ、ホワイトマズル、ビワハヤヒデ、ナリタブライアン、マヤノトップガン、フジキセキ、ダンスインザダーク、ロゼカラー、ローズバド、タイキシャトル、テイエムオペラオー、ジャングルポケット、ローエングリン、ハーツクライ、スマイルジャックなど多数。
共著に『しなやかな天才たち イチロー・武豊・羽生善治』(武豊を担当/アリアドネ企画)がある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
三冠達成から30年という節目に出版されたナリタブライアン本。著者はサンスポ記者/Gallop編集長などを歴任している。
大久保調教師・山路オーナー(そして言及はないが清水英次騎手)は亡くなっているが、南井騎手をしっかり取材している。ほか3名の(元)騎手のほか、最後には早田光一郎氏の刑事事件のエピソードも。村田さんとは連絡取れなかったのかな?
戦績や血統などが一切載っていないのは、スマホで簡単に検索できるからだろうな。それでいて、400ページ弱もあるんだからびっくりする。
時代を反映しているのが、「マル外」に注釈がついたり、シャドーロールが画期的だったことが説明されていること、大久保氏が香港にいながら短波ラジオで朝日杯の結果を聞いていたことなど。ほほえましく読んでいたら、サンスポが田原氏と関係が悪い、という話を見て一瞬「あれ、なんでだっけ」と思ってしまった。直前に佐藤洋一郎氏の文書まで載ってたのに。
基本的には、鈴木氏の主観が出ているノンフィクションルポのような形式。立場をフルに活用し、現役当時のサンスポやGallopからの引用もふんだんにある。木村幸治氏がGallopに載せた文章も引用されている。
ナリタブライアンの高松宮記念出走について語る南井・田原元調教師の話も興味深いし、岡部元騎手が清水英次氏の話題から入ったのもびっくり。また、森秀行調教師がノーザンポラリスの菊花賞回避に言及していた話題が載っているのも嬉しい。
三冠から30年ということで、上述の早田氏の栄枯盛衰や、ナリタブライアンの種牡馬成績などにも触れられているし、ナリタブライアン記念館のその後も出てくる。
このタイミングでブライアンの本を出そうと思った出版社も凄いが、きちんと当時の取材ノートを残しつつ新たに取材もおこなって重厚な本を仕上げた鈴木氏も素晴らしい。
なお、1点、95年天皇賞の妄想実況だけは明確に余事記載だと思う。
Posted by ブクログ
ナリタブライアンのファンである著者が関係者各位に取材した内容になります。
当時の時代背景もわかりやすく書かれてます。
やや大久保正調教師に対しては厳しい視野があるように思いました。
南井だけでなく岡部や武、田原にインタビューしてるのはよかったと思います。
Posted by ブクログ
3歳時に見せた走りは、まさに最強馬のそれであった。ナリタブライアンとは何だったのか。また、同馬の迷走期には何が起きていたのか。
同馬が走っていた頃から30年の時が経つことに驚かされるが、本書は関係者各位への綿密な取材、インタビューに基づき構成されており、まるで当時の臨場感を味わうかのような感覚で読んでいた。
読み応えあり、買ってよかったなと思いました。