あらすじ
劣化した資本主義をバージョンアップせよ!
「荒唐無稽な話ではない。18世紀の英仏で同様のマネー創出が行われている。世界経済をどう立て直すか、お金とは何か。二つを同時に考えさせてくれる画期的エンターテイメントだ」
経済アナリスト・森永卓郎氏も激賞の一気読み経済エンタメ小説!
市場の空気までも読み取り、莫大なマネーを生み出す人工知能「エアー」。世界の金融市場で独り勝ちするエアーのマネーを資金に、中谷祐貴率いる財団法人「まほろば」は、福島の帰還困難区域に同名の特別自治区を建設する。
中谷たちは稼いだマネーをデジタル通貨「カンロ」に変えると、「まほろば自治区」で還流させ始める。そして、成長が鈍化する日本各地にまほろば自治区を出現させ、国外にもカンロ経済圏を開拓し始める。
政府の高級官僚からまほろばに転籍した市川みどりと福田義雄は、密かにエアーの未来に危惧を抱いていた。ひとつにはカンロ経済圏の開拓が性急すぎるから。もうひとつには、エアーの認証権が与えられているのは、中谷1人であるからだ。
そんなとき、中谷は「資本主義をやり直す」という言葉を残し、単身、日本を後にする。舞台はカナダ、中国、そしてロシアへ。中谷の目的とは――?
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Posted by ブクログ
やー、良かった。
いまのとこ今年ナンバーワンかも。
前作で、ほぼ完璧なAI的に市場や地政学を読み取るエアー2.0が隕石で停止(?!)して、3.0が動き出したとこで終わってしまい、からの今作。
主人公は前作ではその日暮らしだったものが、
やさしさをもって、まほろばの地を作っていく、
まぁアフター東日本大震災のモキュメンタリーSF的なもので、悪くないけど…だったのが、
今作は、主人公はもはや、まほろばの伝道師として、西へ西へ。
もはや、エアーなんぞやとか、日本の官僚とか政治家なんてものは視野に入れず、
世界の中の日本として、やさしさで連携し、新たな資本主義とやらをつくるために、
実情に対して本当にそうではないかと思わせる、でもあくまでSFですと片付けられるラインは守りつつ、
これは小説なのかどうかすら分からなくなる。
そして、あのラスト。
これが映画なら、エンドロールの終わった後の一コマまで見たくなるやつ。
続編はあってしかるべきラストだが、
あえてここで終わってみるのもあり。
非常に良い。時代と共に風化する可能性のある時事的小説ではあるが、リアルタイムの今、★5つ。
Posted by ブクログ
2.0の続編。独自通貨と自治区を広げる謎の団体まほろば。ついに海外に進出する。
面白すぎる大傑作。独自の政治経済理論や割と最近の米露中などのリアルな国際社会を描く。個人的には中谷の理想の世界の作り方は上手だし良いものだと思う。続編強く希望!
※自分用ネタバレ
中谷はローズヴェルトがラジオで使ったような方法で、動画配信。少林寺の大物と対談。逮捕されるが、中国のナンバー2にあたる人のアドバイザーの著書に感激、その人に警察から出させてもらう。ウイグルにまほろば自治区を作ることを前向きに検討させる。ロシアに渡り、大統領と会談、共同声明。まほろばは択捉島国後島にまほろば自治区を作る。北方領土を返してくれということではなくロシア領土内で。デジタル通貨カンロを使用。島に来るものにはまほろばがバックアップする。ロシアの東部が経済的に潤うことにロシアとして否はない。共同声明が発表されたあと、中谷は撃たれる。エアーはあと1年で停止すると言い遺して。(1カンロ=1円にしていたが、ロシアで使えるようにするならば、1カンロ=1ルーブルにするのか?)