【感想・ネタバレ】山の向こうから水を引け!地図と地形でわかる日本の川と流域外分水のレビュー

あらすじ

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トンネルで水を山の向こうへ!
地図と写真でわかる┴学ぶ。農業・工業のための国土造り

●郷土の農業・工業を知る学習に
●日本の地理を「相対的に」理解するために
●日本の国土と開発の歴史を知るために

本書は┴いままでになかった「地図と地形で┴日本の国土造りがわかる本」です。
なぜこの地域が豊かな水田地帯になったのか。なぜこの地域に工業が発展したのか。それらを「育てた」水の分配を┴豊富な地図と写真で┴わかりやすく解説します。
農業は国家の基本の一つ。江戸時代┴あるいはその前から┴全国で┴農業のための水の確保をめぐってさまざまな努力がなされてきました。
時には対立もしながら┴明治以降┴近代的な土木開発で┴見違えるような成果を上げてきました。
現代の都市生活者は実感を持ちづらいですが┴工業や災害対策という目的も加わり┴その事業は現在もなお行われています。
それらは┴物語としては語られても┴土地勘もあまりない他地域の人にはわかりづらいものでした。
そこで┴本書では「立体の地形がわかる地図」を駆使し┴直感的にわかるように工夫しています。加えて┴地質やその特徴にも触れることで┴総じて地学的な関心を育てられるようにしています。

【本書が採り上げた10の流域外分水】
安積疏水(福島県/猪苗代湖の水で「不毛地帯」の那須開拓)
両総用水(千葉県/房総半島南東部まで利根川の水を引き┴水田を広げる)
深良用水(神奈川県・静岡県/芦ノ湖の水を外輪山の外に出す)
うそぶき放水路(山梨県/河口湖の水を相模川へ)
愛知用水(長野県・岐阜県・愛知県/木曽川の水を知多半島先端┴その先の島嶼部まで行き渡らせる知恵)
吉野川分水(奈良県・和歌山県/和歌山県に流れ出す水を奈良県へ)
愛媛分水・香川用水(四国四県/吉野川の水を瀬戸内へ)
福岡導水(福岡県・佐賀県/水に乏しい福岡都市圏と筑紫平野へ筑後川の水を渡す)
通潤用水(熊本県/阿蘇の高原を潤す)
宮古用水(沖縄県/宮古島の地下にダムを作り水を溜めて島全体へ)

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Posted by ブクログ

ダムカードを発案した国交省職員が書いた、河川の流域を跨いだ導水事業をわかりやすくまとめた良書。専門的な知識がなくても、分かるよう丁寧な文書と豊富な写真でまとめられている。

土木技術者、ブラタモリのような地形が好きな方におすすめ。

珍しい事業、歴史的な事業などがまとめられており、現地に出かけたくなる。

類似の書籍は少ないので、独自の視点で同様の本を今後も執筆していただきたい。

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2024年11月04日

Posted by ブクログ

わかりづらいタイトルのような気がしたけど、なるほど対象を正確に示すとそういうことになる。あらゆる分水や治水された河川の、その地形的特徴、施工された背景や歴史的な経緯などを仔細に示した好著。丁寧で読み応えのある解説とともに、分水界と人為によって通された流路を明記した地図も秀逸。高低差が一目でわかる良質な地形図に水路の隧道部分も描きわけて示してあるので、その治水の全貌がよくわかる。取水口や水門、ダムや円筒分水などの要衝は写真付き!の解説が付き、地図上にもプロットしてあるので、フィールドでも大変に役に立ちそう。
もともと両総用水に興味があり、関連する資料を細切れに目を通していたけど、このようなまとまった情報は見つけることができなかった。両総用水に関しては16ページくらいだけど、全ページに付箋を立つ感じ。サイフォンや揚水が多い対象なので、全体の高低差のわかる側面図?があると最高だった。とても密にまとまっていて、著者と編集者の苦労が垣間見えます。まだまだ面白い分水の事例はあるので続刊を期待。ぜんぶ買う。

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2024年10月28日

Posted by ブクログ

※「読み終わった」わけではないが、目的の愛知用水パートを読んだのでとりあえず。

愛知用水の立地、歴史は簡単に触れつつ(そういう本はそもそも多くあるので)、
地形の起伏がわかる地図をベースにして取水口から配水先までのルートをわかりやすく表示しており、ポイントは写真と解説入りで追うことができる。
道路や陸上からだけでは良く分からないルートも含めて追いかけることができるので、ドローンで追いかけているかのような感覚になれる。
あるいは「ビー玉ビーすけの大冒険」と似た感覚さえ・・・言わば「水が流れている(ルートを追う)だけなので、どこか感動する」という感覚が味わえる。

あえて言えば用水路ルート全体の標高の上下が分かる縦断図があると良いなと思った。
とにかく「位置エネルギー」を大切にしており、基本的には自然流下を実現している緻密な計画が理解できると思うし、しかし谷を跨ぐとき等に所々サイフォンを使う等も理解できるのではないかと。計画段階での図面には、およその標高(10m程度ごと)が書き入れられているのでそれだけでもある程度参考にはなるのだが。

入鹿水道橋、高蔵寺ニュータウン(開発に寄与)、庄内川を渡る高蔵寺サイフォン、東郷調節池、知多半島の先端から島しょにわたる海底送水管、といったポイントもまたよく見に行きたい。

こういう本が書けるのもいいなぁ。

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2025年09月13日

Posted by ブクログ

意外と山越え用水が多かった。多くは明治以降だが、江戸時代前期の物もあったのが意外。掲載事例は10件程で知りたかった用水が掲載されていなかったのが残念。

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2024年11月21日

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